第443話 モンブロワ再び3
思わぬことで、門を守る衛兵からモンブロワの状況を聞けたシミリートたち。
一応、そのまま街中に入り冒険者ギルドで森狼の討伐証明部位や素材の納品などを行いながら情報収集をする。ただ、前回の失敗を踏まえて慎重になるシミリート。
「この後にトリアンに向かおうと思っているんだけど、どんな感じかわかるかい?」
「え?トリアンから避難して来られる方々は多いですが、トリアンに向かう方は珍しいですよ」
「旅に出ていて、親のところに帰るつもりなんだ。噂があって不安になって」
「そうですか。ここだけの話ですが、内戦のようになっていたようなので、被害を受けられていないことをお祈りします」
「ありがとう……そうか。もし無事だったらこのモンブロワにでも連れてこようかな」
「そうですね。ここは代官様が中立を宣言されたおかげか、以前のままですよ。往来の商人たちが減ったことから、護衛業務なども少なくなったり商品の流通が減ったりはしていますが」
魔術師団のフェルバー中隊長とニキアス副官に、衛兵と冒険者ギルドそれぞれからの話を報告するシミリート。前者は、シミリートが衛兵であることを彼らには秘密にしたままなので、細かい経緯は誤魔化して説明している。
「なるほど。領都の隣の街というのに、その代官は肝の据わった方なのですね。住民のことを慮れる貴族の見本のような方で」
「ただ、きっと独立派の部下たちも居ることでしょう。やはりこの街にも我々は入らない方が無難ですよね、きっと」
それほど脅威になる魔物が居るわけではないが、街を目の前にしながら宿に泊まれないことが何度も続くと団員たちに不満は溜まる。それでも次の領都トリアンが独立宣言をした本拠地であることを踏まえると、渋々納得して設営に入っていく。
「ジモ、残った上位ハイオークの振る舞いどころのようだぞ」
「そうか、トリアンの直前まで残しておくつもりだったのだが」
ジーモントの料理を振る舞うことで、「下手な宿に泊まったときより美味い飯が食べられた」との声が聞こえてくる。
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