第442話 モンブロワ再び2
「では行ってきます」
ニキアスと軽くだけ意識合わせして、シミリートはこの街でも情報収集に向かう。
「シミ、前に来たときにシミの衛兵の立場を使って、“蒼海の眼”クランの刺客の情報収集をしたでしょう?大丈夫なの?」
カミラが街の城門に着く前にシミリートに確認してくる。
「まぁ多分大丈夫だと思うよ。あんな前のことを覚えている人も少ないだろうし、前は東門、今回は西門。衛兵の隊や班の分け方を考えると」
「流石は衛兵のシミ。そういうものなのね」
「何カッコつけていたのよ、さっき言っていたことと違うじゃない」
「そういうなよ。トリアンに比べて小さい街だから持ち回りしているなんて思っていなかったんだよ」
「衛兵でも新人だったシミなんて信じなければ良かった」
「まぁ結果は大丈夫だったんだから」
「そういう問題じゃないわ」
カミラとゾフィに責められるシミリート。トリアンの衛兵なのに冒険者としてモンブロワの街に来ていた珍しさから、ここの衛兵に覚えられていた。またその衛兵が西門の警備に当たっていたため、「む!」と気付かれて個室に呼ばれたのである。
「今回も何かの調査か?」
「いえ、前回も含めて修行の旅の途中なだけで、今回はトリアンに戻るところです」
「そうか。聞いていると思うが、トリアンは特に独立宣言で内戦状態になっていた。このモンブロワにもその波及が来そうだったが、代官様が中立を宣言されて、この街は今のところは平穏だ」
「中立って、片方が優勢になったときに大丈夫なんですか?」
「カミラ!」
「ん?お前は衛兵ではないのだよな?」
「はい、単なる冒険者仲間です」
「そうか。まぁ良い。そうだな、中立というのはそういう危険もあるが、その被害を受けるのは判断した代官様だけだ。住民に内戦の被害を与えないためのご英断だ」
「なるほど」
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