第439話 コルバックの状況

「まったく。危ないことをしたもんだね」

「そうなんだよ、こいつらギルドの受付で堂々と状況確認なんてしようと……」

 酒場の個室にシミリートたち4人は案内され、そこにアディーレとヘンドリクの2人も入って来る。


「すまないが、このコルバックの状況を教えて貰えないかな。この雰囲気だと、独立に対して静観というよりはどちらかに肩入れしているのか、ここの代官は」

「へぇ、ストローデの外に向かったと思っていたのに状況を知っているようだね」

「まぁな。で、どうなんだ?」

 情報量として銀貨を何枚か手に見せながらシミリートが質問を繰り返す。差し出した銀貨1枚を手にしたアディーレが説明する。

「結論から言うと、ここの代官は独立派よ。もともと街道の街の割に人口も少ないし、他の町ほど魔物が周りにいないから冒険者もそれほど住みつかない。野心があると、何か変化を求めるのは仕方ないわね」


「なるほど。で、ウナの親だったか、冒険者ギルドの上位層はどう思っているんだ?」

 シミリートが追加で差し出した銀貨に手をのばそうとしたヘンドリクだが、その手をアディーレに叩かれている。そしてアディーレが2枚目の銀貨を手にして語り出す。

「そうだね。こちらは静観に近いな。独立宣言をしてからは、トリアンから冒険者が西に流れて行くけれど、結局はコルバックの街は通過点でしかない。それに護衛業務をするにも商人の流れも悪くなってしまった。本音は独立宣言をする前の方が良かったのだが、代官への手前、独立に反対とも言えない立場だな」

「なるほど。だから冒険者ギルドの受付もあんな態度だったんだ」


「代官に近い思考の衛兵たちに見つからなくて良かったな」

「まったくだ。助かったよ」

 残る銀貨1枚も追加でテーブルに置いたまま席を立つシミリート。

「せっかちだね。せっかく酒場に来たのに飲んで行かないのかい?」

「あぁ仲間を待たせているからな」

「あの魔法使いの彼女か。そう言えばドワーフも。まぁよろしく伝えてくれ」

「あぁ。お前たちも元気でな」

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