第437話 コルバック再び2

「やっぱりコルバックの城壁は簡易だね」

 草原の中で魔物の脅威も少ないコルバックは、一つ前のメイユやその前のフスハレに比べると頼りない。

「まぁ税金を使って過剰な設備投資をするわけにいかないし、良いじゃない。住民も少なくて税収も少ないだろうし」


 コルバックを前にして仲間内の会話が終わったところで、ニキアスが街中の確認を依頼してくる。

「はい、独立宣言に対して静観か確認してきます。ニキアスさんたちは街から離れたところでお待ちくださいね」

 今回もシミリート、ジーモント、カミラ、ゾフィの4人だけでいったん街中に入る。低身長でわかりやすいドワーフのヨルク、魔法使いのローブ姿のユリアンネとドロテアは王国魔術師団のニキアスたちと待機である。



 冒険者ギルドで、道中に倒したオークの討伐証明や素材を納品しているシミリート。ここの受付担当者にも話を振ってみる。

「なぁ、例のきな臭い噂ってどんな感じなんだ?」

「きな臭いとは?」

「トリアンの方向からさぁ」

「む。さぁ俺は知らないな。ほらこれが報酬だ。邪魔だ。早くどけ」

 昼間であり他に並んでいる冒険者も居ないのに、途端に受付の男性の態度が悪くなる。


「分かったよ」

 受付から離れていったん冒険者ギルドの建物を出ようとしたシミリートたち。

「兄さんたち、ちょっとこっちに来て貰えるかな」

 まぶかに被ったフードで顔を隠した4人に周りを囲まれながら建物を出ると、横道に連れ込まれる。

「あんなところで堂々とあんな会話なんて」

「お前!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る