第426話 山脈での夜襲、再び2
逃げ損ねて≪飛斬≫と≪炎槍≫のダメージも追加で負ったダニロは、実力がありそうな冒険者たちに囲まれていることを認識する。
「おおっと、また逃げるつもりかい?」
シミリートの挑発を気にするが、このままでは危険と判断し上空に逃げようとする。しかしそれは想像通りの行動であり、ユリアンネは待機させていたミスリルの使い魔であるシルヴィスを小さなワイバーン形状にさせたまま、ダニロに突撃させている。
ダンジョンのときと同様に左胸にワイバーンの頭が突き刺さった形になったダニロ。
「またしても……」
「同じ手は、なんて格好をつけていたのにな!」
弱ったところにシミリートが≪吸血≫と≪麻痺≫のダガーを投擲してダニロに突き刺さる。エックハルトも再び槍の武技≪飛斬≫を飛ばすが、あと一歩のところで霧になったダニロにはダメージを与えた感じがしない。
突き刺さっていたシルヴィスとダガー2本が空から落ちてくる。
「くそ!またか!」
「いいえ!」
シグランが呪文を唱え魔法陣から発生させた風を操り、少し濃い霧に見える物を1箇所に集めてくる。
「あそこよ!」
ユリアンネは再び≪炎槍≫を、エックハルトは≪飛斬≫を、シミリートとカミラは高級の回復ポーションの口を開いた瓶を投げつける。
「グェ!」
「やっぱり下品だったじゃないか」
落ちてきた魔石を拾いながらシミリートがつぶやく。
「その魔石、後で貰うからな」
エックハルトは次の獲物であるワイバーンを目指して、戦馬をかけて行く。
「確かに取り合いになったら冒険者側に譲るという約束だったが、俺たちは魔術師団側の扱いか……」
と苦笑いしながら、シミリートもさまよっているレイスを目指して槍を構え直す。
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