第425話 山脈での夜襲、再び
「ダニロ!どうせ居るんでしょう?欲しいものはこれでしょう!こっちに来なさい!」
ユリアンネと打ち合わせしたカミラが、金細工の指輪を取り出して上に掲げる。そして他の冒険者や魔術師団員たちと同士討ちにならないように、囲いのない西方面に誘導する。
「ほぉ、観念したのですね。早くそれを返しなさい」
姿を現した吸血鬼(ヴァンパイア)のダニロ。カミラの騎乗する通常の馬の速度では逃げきれないが、迫って来たところにシミリートが≪刺突≫のショートスピアを投げつける。
「なんだと!」
「ほら、やっぱり下品じゃないか」
「またあなたですか!」
ワイバーン、レイスが襲撃して来て混乱している中であり、シミリートも近くのレイスに魔槍で攻撃しながら紛れていたためダニロの意識の外にあったようである。
ダニロの腹部に大きな傷をつけて地面に落ちた魔槍を拾ったシミリート。下馬したままカミラの前に立って盾(カイトシールド)を構える。
「どうせまた今度も逃げるんだろう?お前、逃げてばかりだよな。夜中にレイスと一緒に襲ってくるし。どうせ親分に怒られたんだろう」
「あなた、五月蝿いですよ!我ももう許せません。今すぐに死になさい!」
≪氷槍≫を数本、上空からシミリートに対して発動してくるが、カイトシールドを構えた彼の襟首を戦馬が咥えて回避を手伝う。
「ライオ、ありがとうと言うか、もう少し優しく!」
≪氷槍≫の発動とそれが回避されたのに気を取られたダニロに、今度はエックハルトの武技≪飛斬≫とユリアンネの≪炎槍≫が飛んでくる。
「吸血鬼か、楽しそうじゃないか。俺も混ぜてくれよ」
「なんですか、あなたは!」
「いや、単なる冒険者だよ。お前を倒せば邪魔なレイスも片付くらしいし」
「エック、その可能性があると言っただけよ」
シグランまで来ているのに驚くが、ワイバーンに対しては魔術師団員たちが何とか頑張っているようである。
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