第411話 フスハレからの再出発3
モンヴァルト山脈の麓の森を抜けて裸山になるところで、シミリートたちが魔術師団員たちを先導して進む。
前回のようなハイオークファイターたちとの遭遇は発生せず、少し進んだところで冒険者たちの集団が待機しているだけであった。
「おう、思ったより遅かったじゃないか」
「すみません、ちょっと魔物たちと戦って来ていましたので」
「冗談だよ、約束は昼というだけだ。まだ太陽は上にいるさ」
シミリートが先輩冒険者たちに揶揄われていた後、中隊長のフェルバーと副官のニキアスがその冒険者たちに挨拶をする。
「あなたが有名な“流星”エックハルトさんですか。それと精霊魔法使いのシグランさん。どうぞよろしくお願いしますね」
「随分と腰の低い隊長さんだな」
「エック!」「失礼しました。はい、どうぞよろしくお願いします」
相変わらずエックハルトは色々と緩く、シグランに手綱を握られている。
「お二人をはじめとする、この数十人の冒険者の皆様。心強い限りです」
「本当はここから上に登るなら熟練の冒険者だけを集めたかったんだが、な。ここより上はBランク以上の魔物だから本当は銀級以上が良いのだが、そんなに居ないから銅級による数の勝負だ」
「では皆さんは銅級以上ということで?」
「まぁパーティーの一部に鉄級も混ざっているが、それはパーティー内で面倒見る前提だから心配しなくて良いさ」
「なるほど」
「ほら、あそこ。確かあのパーティーには鉄級も混ざっていたはずだが、Bランクのハイオークアーチャーを相手に何とかなっているだろう?」
集合場所から上、これから進んでいく方向で、すでに上位ハイオークの排除を開始しているようである。
「では皆さん、あらためてよろしくお願いします。出発しましょう」
それを見たニキアスは、さらに上に登っていく号令を出す。
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