第407話 不死者ダンジョンの報告

 地下3階からの復路は、往路と同じルートを通って地上に向かったからか、戦闘回数は少なくて済んだ。それでも地上に戻った時に外は夜だったので、そこで夕食もとりながら野営にする。

 今回も戦馬(バトルホース)のゼラたち3頭が頑張ってくれた形跡として、狼たちの死体が残っていたので、ねぎらいの言葉をかけつつご褒美もあげておく。普通馬にも、置いていた水桶がかなり減っていたので新しく水を足して新鮮な野菜もあげる。


「ユリ、それってさっきの魔導書?どんなものだったの?」

「それがね、今までとは系統が違うものなの。多分悪魔魔法と分類されるものかと」

「えぇ!」

「だって、これは≪睡眠≫、こっちは≪毒≫でこれが≪病≫。こっちの方は≪骸骨≫≪腐肉≫≪幽霊≫。これは死霊魔法とも言われる、死体を操る魔法でスケルトン、ゾンビ、ゴーストを作り出すみたい。羊皮紙に研究していたのは紛らわしいけれど≪死霊≫ってレイスを作りだすものみたいよ」

「げ!すごいもの見つけてしまったな。これって一般人が持っていて良いのかな?」

「国かどこかに没収ってことか?悪用しなければ良いんじゃないのか?」

「まだ衛兵になりたてのシミの感覚は当てにならないし、魔術師団のニキアスさんにでも確認した方が良いかもね」

「没収されるならば、こっそり写本を作っているのもまずいだろうし……」

「もったいないなぁ。ユリの切り札になるだろうに」


 少しだけかまどの火で読み続けると、人間の死体だけでなく、逆に胸に魔石がある魔物の死体の方が死霊魔法を扱いやすいことがわかる。使い魔シルヴィスとの戦闘経験ができたユリにすると、命令できる何かが居ると自身が魔法を発動するのも楽であり、できれば習得して活用したい。

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