第408話 不死者ダンジョンの報告2

 フスハレの街に戻り冒険者ギルドに報告する際には、色々と内密の話があるからと個室の使用をお願いしている。ギルド職員も上司らしき人物と2名が話を聞いてくれている。

「なるほど。こんなにダンジョンを放置した経験がなかったので、出現する魔物の種類が増えた理由はわからないです。ただ過去にあの不死者ダンジョンでこれほどのダンジョンコアが取れたことは無かったです」

「一概に、その吸血鬼が何かしたと言えないですね。他のダンジョンの魔物も増えていたりする可能性がありますね。代官様にも連絡し、山脈側だけでなく魔の森側にも冒険者を割り当てるようにします。貴重な情報、ありがとうございました」

「ここからは別の依頼になります。無事に山脈を越えられた際にはメイユの冒険者ギルドにもその旨をお伝えください。書状はこれから用意します」


 思っていた以上の報酬だけでなく追加依頼を得て、魔術師団員の泊まる宿に向かう。

「ニキアス様、再出発のご準備の最中にすみません」

「いえ、何か重要な報告があるとか」

「はい、冒険者ギルドにもある程度は報告したのですが」

 代官の妻マルゴットに成り代わっていたレッサーヴァンパイアのモラク、彼女が漏らした始祖吸血鬼ニキシオンの手下と思われるAランク魔物ヴァンパイアのダニロと遭遇したが撃ち漏らしたこと。金細工の指輪はニキシアンの関係のようで、ダニロの指輪と思われる2つ目を入手したこと。そして街から近いダンジョンなのに、しばらく討伐が進んでいないからか出現する魔物が違い、ダンジョンコアが成長していたことなどである。

「魔の森にも冒険者を派遣することは、冒険者ギルドが代官様と相談するので良いとして。始祖吸血鬼ニキシアンの手下たちのことはこちらからも報告した方が良いのでしょうね。明日には山脈へ出発するので手紙だけにしましょうか。足止めされても困りますし」


「それともう一つ……」

「何でしょうか?」

 すでに構えられてしまっているが、悪魔魔法や死霊魔法の魔導書らしきものを見つけたことを、実物を見せて相談する。

「ほぉこれは!」

 結果として、個人で所持や使用をしても問題は無いが、想像通り下手な場所で使用すると揉め事になるので注意するように、とのことであった。ニキアス自身もかなり興味があるようで欲しそうにしていたので、いつか写本を売ってあげると喜ぶのかもしれない。それと、「やはり冒険者の方が……」と、ニキアスがつぶやいた言葉は聞かなかったことにした方が良いのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る