第406話 不死者ダンジョンのコア
「やったのか?」
「いや、魔石もなくシルヴィスもさまよっているだけだ。霧になって逃げられたんだろう」
Aランク魔物のヴァンパイアは流石に多芸と言えば良いのか、あと一歩のところで逃げられてしまう。
「シルヴィス、良くやったわね。ありがとう」
ユリアンネは手元に戻ってきた使い魔を撫でて肩にとまらせる。王級火魔法を浴びてもどこも損傷した感じがない。
「仕方ないな、何か残っていないか探すことにしよう」
広間そのものは何もなさそうなので、ダニロが出てきた別の部屋に皆で向かう。
「おい、これって!」
3階程度のダンジョンだから期待はしていなかったが、握り拳よりは十分に大きく、濃い赤紫色のダンジョンコアと思われるものが浮かんでいた。
「やったわね。初めてダンジョンコアを見られたわね」
「それより、こっちのテーブルの上」
「これ、ダニロとかいう吸血鬼がここで研究していたのね」
魔導書らしきものが2冊と研究ノートのようなもの、いくつかの羊皮紙や羽ペンとインク、そしてレイスと思われる幾つかの魔石などが散らかっていた。ユリアンネがパッと見ると≪毒≫や≪骸骨≫などあまり人に見られて良いものはなさそうである。
他に血と思われるようなものが入ったガラス瓶や、蝙蝠の死体など何かの作業をしていたのであろう。
「それと、これって」
女吸血鬼のモラクも持っていた、始祖吸血鬼ニキシオンに関係するらしい金細工の指輪と同じものが置かれていた。作業中に汚さないために外していたのだろうか。
「めぼしいものはこれくらいならば、帰るとするか。ダンジョンコアだけでなくヴァンパイアのことの報告もしないとな」
シミリートが皆の疲れも取れたであろうところで声をかける。
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