第398話 不死者ダンジョン2

 モンヴァルト山脈に再挑戦するまでの待ち時間で魔の森、セルヴ大森林の入口近くと言われるダンジョンに来た“選ばれた盟友”の7人。

「これって観光地みたいじゃない!」

「そうだよなぁ」

 前回、使い魔の関係で森に来た時には、馬を森の外に待機させたのだが、今回の不死者ダンジョンは驚くことに森の外からの細道がダンジョン前の広場まで続いていたのである。

「つまり、道ができるほど皆が来ているダンジョンってことだな」

「じゃあ、前みたいに空っぽなんじゃないの?」

「それが、冒険者ギルドの職員さんが言うには、みんなが山脈に行ってしまって、魔の森の間引きが滞っているらしい。だからこのダンジョンの情報も安くすると言われて、中の地図までおまけしてくれたんだ」

「色々と微妙な話ね。放置されすぎていたなら魔物が溢れる懸念もあるけれど、山脈の方も優先しないといけないし」


 結局ダンジョン前の広場まで騎乗で来たので、従魔である戰馬(バトルホース)3頭に残り4頭の面倒も見るように指示してからダンジョンに入る。丘程度の少し盛り上がった場所にぽっかり空いた、少し先が下がっていくように見える洞窟がダンジョン入口のようである。

「ほら、こうやって松明で照らすのが普通だけど、私たちにはユリが居るから光魔法≪灯り≫もあって安心でしょ」

「今回は地図も入手して来たけれど、いつもならユリが地図を書いてくれていたのよ」

 ダンジョン攻略が初めてであるドロテアに対して、先輩として色々と言えるのが楽しいカミラやゾフィ。


「うぉ!びっくりした」

「蝙蝠ね。普通の蝙蝠ではなくEランク魔物の方なんだろうけれど」

「おかしいな。地下1階は同じEランク魔物でも骸骨(スケルトン)だけって情報だったのに」

「蝙蝠って吸血鬼を思い出すわね。不死者ダンジョンに居るってことは関係あるのかな」

「みんな、Eランクだからって呑気なことを言っていないで。それこそ血を吸われるかもよ」

 流石にEランク魔物であれば何体いても、落ち着いて対応すれば危なげなく片付けることができた。

「ダンジョンだから、ほっておけばこの死体も吸収されていつの間にか無くなるのよ」

 ドロテアに説明しながら、魔石や牙だけ解体して入手しておく。

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