第393話 使い魔の儀式魔法3

 小さな銀色のワイバーンの形状の使い魔、シルヴィスを儀式魔法で作り出したユリアンネ。

 今度は少し離れたところまで飛ばした状態で、シルヴィスが見ている風景を、目をつぶった自分も見ることができることを確認。さらに飛んで戻ってきたところでシルヴィスが見てきた風景を、目をつぶった自分が動画再生を見るように見ることができることを確認する。

「それって、他人が見ることができないのよね。何をしているか、意味はわかるんだけど、見ていてもつまらないわね。空からの風景なんて鳥にでもならないと分からないのに」

「ワイバーンの背中に乗って戦う竜騎士ってのも居るらしいぞ」

「それは怖いから良いわよ」

『前世では高いビルや飛行機から見下ろすことも、ドローンなどの映像もあるから身近だったけれど、この世界では普通じゃないわよね、確かに……』


 ある程度の実験が終わった後、皆がそれぞれ触らせてと手を伸ばしてくる。

「ひんやりしているな。本当に生きているみたいに動くな」

「流石にブレスは吐かないよな」

「このサイズのブレスはあんまり怖くないけれどな」

「でも、しっかり火傷はするでしょう?それにこの爪や牙は小さいながらに鋭いから、弱い敵の目潰しぐらいならできそうね」

「これって硬いのよね?敵に殴られても大丈夫なら確かに敵に突っ込ませるのもありね」


「それからね、日頃はこんな感じにできるのよ」

 事前に魔導書で確認していたユリアンネはシルヴィスを変形させて腕輪にして左腕にはめる。

「これなら他人にバレないわね」

「どんな形にもなれるの?」

「ワイバーン以外の形状はかなり大雑把なものにしか成れないみたい。まん丸の球とか、こういう輪っかとか」

「丸い球にして、硬いから投げつけるのもありか」

「普通に飛んで行かせた方がいいんじゃない?」

 しばらくは皆のペットのようなおもちゃのような存在になりそうな気配である。

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