第392話 使い魔の儀式魔法2
「終わったのか?」
光がおさまった後も、周りから見ていたシミリート達は、足を踏み出して良いのかわからない。
しかし、ユリアンネが倒れ込むようにしゃがむのでシミリートが駆け出す。
「大丈夫か?」
「あ、大丈夫よ。魔力を使い過ぎただけ」
魔力回復ポーションを取り出して、それを飲んだユリアンネは抱えてくれたシミリートにお礼を言いながら立ち上がる。
そして地面に描かれただけになった魔法陣の中心部にある銀色の物体に手を伸ばす。そこにはその物体と、空になった瓶だけが残されていた。眩しくて見ることはできていなかったが、瓶に入っていた飛龍(ワイバーン)の血はその銀色の物体に吸収されたのだと思われる。
「すごいじゃないか、それ!」
ユリアンネの横にいるシミリートはその銀色の物体を見て思わず叫ぶ。
先日に苦労の末に倒したワイバーンをそのまま小さく手のひらサイズにした物が、ユリアンネの手のひらに乗っている。そしてそれは首を回したり尻尾を動かしたり前足を動かすことでその後ろにある蝙蝠のような翼が動いたり、まるで生きているようである。
その頃には仲間の皆も集まってきて、ユリアンネの手のひらの上にいるミニのワイバーンに見惚れている。
「ねぇ、名前は何にするの?」
「うん、シルヴィス。この子を見たときに頭に浮かんだの」
「あら良いじゃない」
「シルヴィス!空を飛んでみて」
ユリアンネの口にした命令で、小さな銀色のワイバーンが生きているかのように頭の少し上を飛んでまわる。
『シルヴィス、今度は肩にとまって』
声に出さずに行った命令にも従って、ユリアンネの肩にとまるシルヴィス。
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