第390話 フスハレ北のセルヴ大森林3

 ワイバーンなどを解体したその夜、宿で≪吸血≫ダガーを≪簡易鑑定≫で確認すると高級中位に質が上がっている。

「やっぱりAランク魔物のワイバーンの血を吸わせたからかな」

「このままどこまで成長するのか楽しみだけど、怖くもあるよね」

「何が起きるかわからないし、何も起きないかもしれないけれど、≪吸血≫は続けてみましょうか」

「持ち主のユリが言うならば。またすぐにワイバーンとも戦うのだろうし」

「金級冒険者のエックハルトさん達も参加してくれたら私たちも安全なんだろうけど」

「どうだろうなぁ。冒険者ギルドでの募集も周知されただろうし、また個別にお願いしてみようか」


 翌日は再びセルヴ大森林に来ているユリアンネたち。今夜の満月のときに、魔素が集まるこの森で儀式魔法を行い、魔銀(ミスリル)を使った人工生物の使い魔を作るためである。

 少しでも森の奥の方が魔素の集まりが良いと想定されるため、7人揃って進む。ただし、戦馬ではない通常の馬が森の奥に進むのは難しそうなので、他人に盗まれない程度に少し森に入ったところで木に繋ぎ、戦闘力もあり頭も良い戦馬3体に護衛を頼んでおく。

 まだ入り口に近いからか狼程度の魔物と遭遇はするが軽くあしらって、ひらけた場所を探す。


「これくらいの広さがあれば良いかな?」

「そうね、この魔導書では大きい魔法陣を描くほどたくさん魔素を吸収できると書いているけれど、具体的じゃないのよね。まぁ良いわね、ここにしましょう」

「いつもみたいに魔力で魔法陣を描くの?」

「それでも良いみたいだけど、少しでも多くの魔力を使い魔に注ぎたいから、地面に描いておきたいわね」

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