第389話 フスハレ北のセルヴ大森林2

 解体作業が終わったところで≪洗浄≫魔法を全員に発動し、一息ついたところで、解体したドレイクとワイバーンの肉による昼食とする。

「うーん、やっぱり同じBランクならば上位ハイオークの方が美味いかな」

「でも、脂身はないけれどもさっぱりしたこっちのドレイクの感じも良いわよ」

「いや、ドレイクとワイバーンを比べると運動量が違うからかAランクだからか、やはりワイバーンの方が美味いだろう?」

 まるでいっぱしの美食家になったかのような批評を、焼いて塩を振っただけの肉に対して行う仲間たち。お互いにそのおどけた感じを楽しんでいる。


「さぁ、それぞれを売りに行こうか」

「ユリの儀式魔法の用意も明日で大丈夫ならいったん街に帰ろうか?」

「そうね、この亜龍の内臓や血液がいくらで売れるのか確認するのも勉強だし、ついでにどんな薬の素材になるのかも知りたいし」

 入手した鱗で防具を強化するのは全員で向かう。魔の森の目の前の街であり、もともとは山脈越えの際に商人や冒険者がグループを組む街でもあるため、防具屋はいくつかある。目についた女性たちでも入りやすそうな店舗で、以前に巨蠍(ジャイアントスコーピオン)の殻で強化した革鎧を見せて、ワイバーンの鱗による強化を相談する。

「うーん、こんな良い素材ならば鱗を繋ぎ合わせた本当の意味のスケイルアーマーにするのはどうだい?」

「え、でも重くなりませんか?」

「ワイバーンの鱗は空を飛ぶだけあって軽いから大丈夫だよ。確かに普通の金属片を繋ぎ合わせたスケイルアーマーは重いけれどな」

 相談の結果、全員が新調することになり、近接武器を使用する男性陣とカミラは手足を含めた全身、残る女性陣は動きやすさを重視して胴体中心で発注する。ただ、思っていた工程と違い時間がかかりそうだが、出発日を意識して3日で終わるように特急料金も追加で支払い依頼する。


 冒険者ギルドへの討伐証明部位の提出などはヨルク、ゾフィ、ジーモントの3人に任せる。残り4人で内臓や血を買い取ってくれそうな魔道具店や薬屋を探してまわるが、結局どこもレシピどころか使い道を一見(いちげん)さんに教えてくれることはなく、最終的に冒険者ギルドに売却することにしてしまった。

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