第360話 フスハレの街2

 フスハレの冒険者ギルドで見覚えのある男女を見かけたユリアンネたち。

「あぁ、金級の“流星”エックハルトと銀級シグランだったか」

「あの人たち、また山脈を超えてきたんだ」

「向こうの様子を教えて貰えるかも!」

「あ、ゾフィ、待てよ!」


 食堂でテーブルに座っている2人を取り囲む冒険者達を押し除けて声をかけるゾフィ。

「エックハルトさん!シグランさん!」

「はい?どなたでしたっけ?」

 やはりしっかり者の方のシグランが答える。

「あ、すみません。この山脈に魔物が溢れだしたときに、お二人に助けて頂きながら東に戻った商隊の中にいた者です」

 追いついたシミリートが代わりに答える。

「あぁあの集団に居たのか」

「お二人は、あのときに東に一緒に降りたのに、なぜまた西側にいらっしゃるのですか?」

「ん?あぁ、あっちは」

「エック!」

 エックハルトが話しかけるのをシグランが止める。


 あちらの事情を知っていると感じたシミリートが、

「ストローデ領の独立ですね?個室でお話できませんか?」

とシグランに耳打ちする。シグランは驚いた顔をした後、周りを囲んでいた冒険者にお話はここで終わりと解散を促してエックハルトと共に、個室へと移動する。


「西側でその情報を知っている人に会うとは思いませんでしたわ」

「情報料はお支払いします。あちら、東側はどうなっているのでしょうか?」

「正直、詳しいことは分からないのですが。トリアンの迷宮に潜っていた私たちは、街に戻ったところで空気感が違うことに気づきました」

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