第359話 フスハレの街

 フスハレの街につくと、冒険者が街中に多くいることが目につく。

「山脈付近の魔物退治にこれだけ集まっていたんだ」

「いや、実際に討伐に向かっている最中の人たちも居るだろうから、もっと集まっているはずよね」


 ここでも中隊長のフェルバー大尉と副官のニキアス少尉だけが代官館に向かい、その他の隊員や“選ばれた盟友”は宿屋の手配が終わった後は自由時間になる。もともと領都ほど大きな街ではないのと、冒険者が多いことからまとまって泊まれる宿はなく分散して宿泊となっている。念の為、街の東で翌朝に集合ということだけは決まっている。


「何となくメイユみたいな街ね」

「確かに。山脈を挟んだ東西の街だから、かな。山脈を越えるときには複数の商隊が集まって魔物に備えるって言っていたし」

 冒険者達が多い中、何かトラブルになったときのため7人は揃って行動をしている。何よりも矢や食材を中心にした消耗品の調達が最初である。


「今は魔物が多いから、買い占めできないように購入量制限をしているのだよ。ごめんね」

 矢や薬草の調達の際に同様に言われた言葉である。メイユの街では魔の森が近いから薬草は豊富と言われていたのに、このような状況だからなのであろう。



 続いて冒険者ギルドに情報収集に来た7人。

「依頼はほとんど山脈の魔物退治みたいで、それをたくさんの冒険者が対応していても、山脈の魔物が減った感じはないみたい。それに、やっぱり地龍(ドレイク)や飛龍(ワイバーン)が居るみたいね。ドレイクはたまに討伐できても、ワイバーンまではいけていないのかな」

「そうか。その状態だと騎士団員達だけでどこまで進めるのかな」


「なぁ、それよりあの人たちって」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る