第361話 フスハレの街3
トリアンに行っていたはずの金級エックハルトと銀級シグランに、山脈の東側の様子を聞き始めたシミリート達。
「街中では、兵士同士が戦っている感じでした。私たちが迷宮から街に戻ったときには趨勢(すうせい)がある程度は決まっていたようで、小競り合いがどこかで発生しているぐらいでした」
「領軍同士が戦っていたのですか?独立に反対している派閥があるということでしたか?」
「そこまでは分かりません。ただ、多分そうなのかと。ストローデはモンタール王国から独立してストローデ国になる、と宣言している人たちが多かったので」
「うーん……」
「きな臭い感じがしたから、俺たちはトリアンをすぐに出て西に向かって来たんだ。冒険者は嗅覚が大事だからな」
「エック!はい、まぁそんな感じで西に向かって来ました」
「途中の街、モンブロワ、コルバック、メイユはどんな感じでしたか?」
「街中は特に違和感はなかったですよ。情報が伝わっていないのか、その派閥争いが街中であった感じはありませんでした」
「それでも山脈を超えて来たのですね」
「あぁ、俺たち2人なら可能だったからな。ついて来たいという奴らも居たが、今回はその依頼を受けるより山脈の西側に逃げることを優先したかったからな」
「人と争う戦争は苦手でして……」
「今、フスハレにいらっしゃるのはなぜ?もっと西、王都などへは?」
「ここならば魔物相手で安心して金も稼げるからな。本当はトリアンダンジョンが美味しい場所だったんだが……」
まだしばらくはこのフスハレの街に居そうなことを確認したことで一旦は満足し、それなりの情報料を渡して2人と別れるシミリートたち。
「シミ……」
「いや、きっとみんなの家族は大丈夫だよ。あくまでも領兵たちの争いだろう?」
「そうは言ってもシミの所属部隊の人達は……」
「きっと衛兵の皆さんも大丈夫だよ。街の護りが仕事なんだから……」
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