第346話 帰郷準備2

 北の国境、フィノイスの街付近から王都に戻ってからはトリアンへの帰郷準備に追われているユリアンネたち。

 その中で、先日のまとまった報酬をもとに装備の新調も考えている。

「王都にいる間に良い物を買っておかない?」

「具体的には?トリアンも、迷宮から出る諸々で品揃えはあると思うけれど」

「確かに、トリアンに帰ってからも買えるかもしれないけれど、あっちで騒動が起きているからどうなっているか分からないわよね。そこに辿り着くまでにも必要そうなものよ」

「そうだな。ということは魔法の武器か!?」

「そんなに良い物は簡単に買えないけれど、この前の金貨を使えば」


 通常の金属武器であればヨルクが鍛えるか、その親戚などの伝手もある。魔剣となると、今の借家の目の前にある魔道具屋かクロリスに頼むことになる。

「魔法の武器で斧はあまり見ないよな……」

「クロリスさんの伝手ならもしかすると見つかるかもよ」

「ダガー、ショートソード、ロングソードなどは人気だし品揃えがありそうだけど、弓矢はどうかな。使う人はそれなりに居るけれど入荷が少ないと言っていたし」


 まずは自宅前の魔道具店の出品を見学する。挨拶に訪問した際には、品数が豊富ではないが超高級品ではなくベテラン冒険者向けの層の商品が多かった。水生成の魔道具や魔法の収納袋以外に炎をまとうことができる魔剣も取り扱っていた。

「仕方ないよね、タイミングだから、こういうものは」

 この日には、以前に見た炎のショートソードはおいていなく、≪頑丈≫が付与された大きな盾、カイトシールドだけであった。シミリートとジーモントはもっと小さなバックラーを使用しているため即決とはいかない。


 一方、クロリスに相談すると流石の品揃えであった。懐事情と相談し、ゾフィが≪遠射≫という飛距離を伸ばすショートボウを、カミラが氷をまとうショートソードを、シミリートは≪刺突≫のショートスピアを、ジーモントは≪頑丈≫のバックラーを購入する。

 ヨルクはしっくりくる斧が見つからず、ユリアンネとドロテアも魔法の杖の更新をしなかった。


「大きな盾の方が良いときもありそうだからな」

とシミリートは、先に見ていた≪頑丈≫のカイトシールドも結局は購入していた。

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