第345話 帰郷準備
帰郷を踏まえて、神殿の市場(いちば)での売却は継続するが、ガラクタ市場での仕入れは掘り出し物が無いかの確認程度にしている。
その中で、ユリアンネは前世記憶でのパピルスのような、植物の繊維を縦横に並べた紙のような物をガラクタ市場で発見する。書かれていたのは前世記憶のヒエログリフのような物ではなく呪符のようにも見えるが、以前に見た墨で書かれた呪符の紋様とも違い、詳細は分からない。迷宮都市トリアンも市場は盛況であったが、やはり見知らぬ物に触れることが出来るのは王都ならではと思い、王都を離れることになることは、やはり残念に思うユリアンネ。
仲間達も王都の知り合いに、色々と勘づかれないように気をつけながら、そろそろ帰郷を考えているということだけは話をし始めている。特にヨルクの親戚や、シミリートの槍道場は連絡も無く不在にすると後が面倒になると思われるからである。
クロリスには帰郷することは確定として相談にも乗って貰いつつ、薬草などの素材を購入して、ポーションの納品などを行う。
「魔法の袋も追加で購入させてください」
「そうね、長期の旅になると特に重宝するわよね。それと、王都にいる間にこれを」
クロリスが提示して来たのは、上級風魔法≪雷撃≫の魔導書であった。
「王都にいる間に写本を作って返してね」
「もちろんです!ありがとうございます!それと……」
魔銀(ミスリル)を少量ではあるが、クロリスから購入したユリアンネ。いつ使えるようになるか分からないが、変なところから購入すると秘密が漏れることもあるし、それだけの経済力があることもあまり知られたくないので、王都にいる間に入手したかったのである。
「流石ね。どんどん成長してね」
帰宅すると早々に≪雷撃≫魔導書の写本に取り掛かりはするが、入手したミスリルをときどき取り出して眺めながら使い魔に対して想いをはせる。
『モンヴァルト山脈で飛龍ワイバーンの血を入手できると、トリアンに帰ってから偵察などに活かせるかな……』
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