第338話 フィノイス奪還2

 “選ばれた盟友”の7人はもともと治療行為という後方支援を期待されていたわけであり、フィノイスの街に入って怪我人治療にあたることになり、神殿に移動を指示される。


「キッツシュ湖畔のバーアンの神殿で、神官にポーション納品を望まれたみたいなことにならないかな?」

「ポーションが調合できるとは言わないままにしておきましょう」

と意識を合わせてから豊穣の女神デメテルの神殿に向かう。


「ようこそお越し下さいました。ここで治療を行っておりますので、お手伝い頂ける方はこちらへ」

 村の奪還とは比較にならない規模の戦闘が行われたのであり、怪我人の数もかなりになる。高級下位品のポーションを軽傷者に使用できる状況ではない。

 ユリアンネとドロテアが初級回復魔法≪治癒≫で治せる範囲は魔法で、それ以上はそのポーションを使用していると神官から注意される。

「なんと勿体無い!中級回復魔法≪回復≫もしくは中級品のポーションで対応できる方はこちらへ案内して。逆に高級品が必要な重症者の処置はお願いします」


 その神官の指示により、回復魔法が使用できない神官もしくは治療が終わった下級兵士が怪我人の案内を行うことになり、その割り振りに従って治療を行うユリアンネたち。


「重症者は以上ですかね。また明日からも、南側以外での戦闘もあって怪我人が増えるかも知れませんが、本日のところはこれで終わりにしましょう」

 その場を仕切っていた身分の高そうな神官が終了を宣言する。

「ところで、そのフードをかぶったあなた。こちらへ」

「え……」

 拒否もできないであろうし、構えながらゆっくり歩くユリアンネ。シミリート達も何事かとそのすぐ横に寄ってくる。

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