第339話 中級回復魔法
身分の高そうな神官に呼ばれて構えているユリアンネ。
「あなた、なかなか筋が良いわね。もう1人はまだまだぎこちないけれど。その魔力回復ポーションも譲って頂きたいところですが、それよりもあなたがさらに上位の回復魔法を習得する方が役立ちそうね」
「は、はぁ……」
どう答えるのが良いのか分からず曖昧な返事にとどめる。
「その初級回復≪治癒≫はどちらで学ばれたのか。どうして中級の≪回復≫まで教えてあげられなかったのかしらね」
「……」
「まぁ事情があったのですかね。この神殿で治療を手伝う何日かはこちらを貸してあげます。不明なところがあれば教えますので頑張ってみなさい」
装丁のしっかりした魔導書を預けられた後は、そのまま去っていく神官。
「何事かと思ったけれど、大丈夫だったみたいだな」
「なんかいつもと違って分厚い魔導書なのね」
パラパラとめくってみると、最初は聖書、経典みたいな物のようで、後ろの方に魔法陣などの記載がある。
しばらくはこの神殿の宿舎で寝泊まりするようにも指示されていたので、与えられた部屋、男女ごとに分かれたところに向かう。流石に誰が見ているか分からない神殿の中でポーション調合を行えないので、魔導書の読み込みに専念するユリアンネ。
「前半は、昔の聖人がこの魔法を使用する場面の物語のようね。イメージを膨らませるための補助かしらね。後半は普通の魔導書に近いけれど。これの写本を作るのは流石にダメよね。ポイントを転記するだけね」
≪治癒≫魔法のときと同様に前世知識の血小板などの働きのイメージと、自身が調合したポーションで回復していくのを何度も見たイメージを意識しながら、何度か試すとうまく行った気がする。
ドロテアにも試させてみたが、まだ中級習得には早かったのか、うまく行く気配はなかった。
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