第336話 村の奪還戦の後2
「分かりました。では、皆様の手持ちのポーションを買取させて頂けますか?」
「戦場ですし、普段に街で購入するより高価になるのは当然ご理解されますよね?」
「分かっています……」
騎士団の方の副官が、ニキアスの紹介でやって来て、買取を申し出て来た。ポーションは軍需品であり当然に日頃から蓄積してはいるものの、今回は真モシノム大公国側への出陣で在庫が少なくなっているところへ、こちらのビザリア神聖王国側への出陣である。
副官としても追加調達しようとしても入手が困難であり、ステフェンの街でも最低限しか調達できていなかった。それなのに治療班と揉め事を起こした団員に頭を悩ます副官にとっての落とし所であった。
「大変ですね……」
「自尊心だけが高い貴族の子弟が、なのは魔術師団でも同じでは?揉め事を起こしておきながら、ゆっくりしか効果が出せない傷回復薬では文句を言って来て。即効性のあるポーションの在庫が無いのは職務怠慢だと……」
「まぁまぁ、いづこも同じですね……」
ニキアスが人知れず副官同士の辛さをなだめ合っている。
続いて向かったもう1つの村では、事前調査より敵兵の数も少なかった上に魔法使いも居なくて戦闘は発生せず、投降してきた兵士を捕虜にするのと、傷付いていた村人を治療するだけで終わった。
その予定の2つの村の解放が終わったところでステフェンの街へ帰還する。
「今回はかなり冷や冷やしたわよ。シミもあんな対応して大丈夫だったの?」
「まぁあまりに従順になりすぎても、前線へ放り込まれたりするだろうし、微妙なところだよな。今回はあちらの副官という常識人がいてくれて良かったが」
「居なかったらどうするつもりだったんだ?」
「申し訳ないが、ニキアス副官にさらに苦労して貰ったんだろうな」
「……シミって意外と悪いわね」
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