第335話 村の奪還戦の後

「何をしている!治療班はこっちに早く来い!」

 騎士団員の偉そうな発言に、

「自分たちが敵兵を撃ち漏らしているから、こっちは矢傷を受けたのよ!」

とカミラが噛み付くが、

「は、自分たちの身も守れず傷を受けるような奴が戦場に来たのか?」

とあしらわれる。

「治療対象の村人はどちらですか?」

 シミリートが代表して応対するが、あくまでも治療するのは村人であると言い切る。

「何!?」


 険悪な雰囲気になりそうなところへ、フェルバーとニキアスがやって来る。

「村人達は村長の館に集められています。我々と内応しないように、昨夜のうちに移動させられたようです。こちらです」

と案内された場所で、神聖王国兵に傷つけられた村人達にポーションを使用して治療を行う。


 魔術師団員に怪我人は居なかったようであり、神聖王国兵は全員死亡したようなので、再び騎乗して門外の待機場所に戻る7人。

「シミリートさん、何とかなりませんか?」

 フェルバーとニキアスが、7人が下馬して集まっているところにやってくる。

「何を、でしょうか?」

「シミリートさん、騎士団員の怪我人も治療して欲しいのです。私たち魔術師団員には回復魔法の習得者は居ないのと、軍需品のポーションは数が少ないので」

「自分の身も守れず傷を受けるような騎士団員の方が戦場に来られているのですか?」

「そう言わないであげてください。戦いの後で気が昂っていただけですので」

「では、我々も来る約束でもなかった戦場に連れ出されて、撃ち漏らしの敵兵の攻撃を受けて、それを非難されて気が昂っているのでこれ以上はご容赦ください」

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