第330話 使い魔を使った偵察

 ステフェンの街からある程度までは街道を北上し、フィノイスの街に近づいて来ると、ビザリア神聖王国の将兵に見つかる可能性があるため、街道を東にそれて行く。

 遠くには魔の森、セルヴ大森林が見えている。


「あちらさんも西にそれて行ったな」

「この国境の村の奪還隊、東西で1隊ずつって少なくないか?」

「いや、そちらにあまりに兵を割きすぎても本隊の方が少なくなるし、そろそろ敵も奪った村の防衛に力を入れ出すだろうから、1隊の人数を減らしすぎるわけにもいかないだろう?」

「それって、それだけ戦闘を覚悟しろってことだよな……」

 シミリートたちが他者、特に騎士団員たちに聞こえないだけの距離をとって内緒話をしていると、

「そこ!隊列を乱すな!そろそろ目的の村に着くぞ。油断するな!」

と注意されてしまう。



 しばらく進んで目的の村が近くなって来たところで進軍が止まる。この村は木々に囲まれてはいるが、魔の森からは途切れているので一般の森と思われる。


「では私の出番ですね」

とニキアスが肩にとまらせていた鳥を村に向けて飛ばす。


 チャンスだと、ユリアンネはニキアスに話しかける。

「使い魔ですよね?飛ばした後は指示されなくて良いのですよね?」

「そうですね。この道をまっすぐ行った村の様子を見て来るように、と指示していますので、後は戻って来るのを待つだけですね」

「他の団員の方の使い魔はいないのですか?」

「騎乗できる団員で、鳥の使い魔が居るのは私だけですね。使い魔のことに興味が?」

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