第329話 新たな指令2
「ひやひやしたわよ、シミ」
「貴族様に逆らうなんて」
「フェルバー中尉は正しいことをおっしゃる割に優しいところがあるから、きっと軍の中でも優柔不断、押せば何とかなると思われているんだと思う。これまで損な役回りもして来られたんじゃないかな。それに付き合わされるとこっちの命も危ないからな」
「それでも……まぁシミのおかげで安全圏になるのだから感謝しかないか」
「優しさと優柔不断は表裏一体だからな。しかし、ニキアス副官には悪いことをしたかな」
同じ宿屋で男性陣の部屋に集まって話をしている7人。そこへノックされて入って来たのはその副官ニキアスであった。
「シミリートさん、計算の上での行動ですよね。胃が痛くなるので勘弁してくださいよ」
「申し訳なかったですが、我々は前線で戦うほどの経験値も無い若輩者ですので」
「はぁ。今回は今までの十数人規模ではなく、数十人規模の行動になります。騎士団が中心ですので、魔術師団の我々はもともと少数派。騎士団相手には気をつけてくださいね。まぁお分かりとは思いますが」
「ご忠告、痛み入ります」
ユリアンネはニキアスに使い魔のことを聞きたかったが、しばらくは無理だと我慢する。
そして出発のとき。
魔術師団のフェルバー中尉以下では、騎乗ができる正規団員8人とシミリートたち臨時の7人。騎士団からは30人ほどのようである。ドロテアも購入できた雌の戦馬バトルホースのペルルに騎乗している。
「フェルバー中尉、事前の認識合わせの通り、騎士団にて先導させて頂く。では出発!」
「やっぱり騎士団の隊長の方が偉そうだな」
「まぁ同じ小隊でも、あちら騎士団は当然に騎乗できるから全員参加、騎乗できないでステフェンに留守番になった隊員を差し引く魔術師団は数に劣るからな」
「あと、こちらの中尉は押しに弱そうだから、だろ?」
「シッ!」
仲間達がいつか不敬罪で問題になる気がするユリアンネ。貴族などの身分制度に慣れていないはずの自分の方が心配させられる理不尽さに納得がいかない。
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