第321話 村の奪還後2
「また手柄をあげられたようですね」
ステフェンに着いたときにはすでに夜であったが、神聖王国の捕虜4人と12体の死体を、装備を含めて引き渡しまで行えた。
その後、宿で休みを取った6人が遅めの朝食を食べたところに現れたのは、小隊の隊長フェルバーと副官のニキアスである。
「今回の捕虜でも最高位が軍曹程度でしたので、得られた情報は前回と変わりがありません。しかし魔法使いは貴重なので、敵から減らしたのは価値があります」
「一般兵の中に護衛もなく1人だけの魔法使いでした。大事にされていないのでしょうか」
「そうですね。もし身代金を払ってこない場合にはその戦争奴隷のままになりますね。確保された皆さんにそのまま渡されるか、売却金を希望されるか、どちらでも。他の捕虜も同様ですよ。必要な情報は入手できたので、早くに引き渡しが可能なはずですが」
ニキアスの発言に、ユリアンネの反応を想像するシミリートは回答に困る。
「ねぇ、≪火炎≫が何発もうてる魔法使いならば戦力になるわよね。しかも絶対に裏切らないのなら、前線にいる間だけでも仲間になって貰った方が良くない?」
「カミラ!?」
「そうだな。奴隷というのには慣れないが、絶対安心な強い味方が多いのは助かる」
「ジモまで」
「逆に魔術師団の皆様がお使いになられる案はないのでしょうか?」
「もちろん戦力向上としては期待できるのですが、団員それぞれの自尊心もありますし、扱いに困ってしまうと思われますので。まぁ捕虜も多くなって来たので今日にでも取引に行くと思いますから、その結果をお待ちください」
と、ニキアスに言われ、もともと休暇だった6人は用事を済ませて待つことになる。街で薬草、食料品、矢などの消耗品を調達し、ポーション調合や武器の手入れをする。
その間に、前回の8人と今回の4人、他の村に向かった戦力がとらえていた捕虜も合わせて30人ほどが馬車に乗せられて、フィノイスの街を包囲しているビザリア神聖王国軍の近くまで連れて行かれたらしい。
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