第320話 村の奪還後

 味方の騎士団員たちは、自分たちと同数程度の10人ほどの敵兵に手間取っている間に、敵の魔法使いの攻撃で戸惑っていたが、シミリートやユリアンネたちの援軍のおかげで落ち着きを取り戻す。



「さぁこれで村は奪還できた。後始末をするぞ!」

 落ち着いて見渡すと騎士団員に死亡者は発生せず、敵兵11人のうち5人は死亡、残り6人は重症者を含めて取り押さえ済みである。


 シミリートは魔剣である短剣2本の回収と合わせて、敵の魔法使いを縛り上げる。今は≪麻痺≫の効果もあるようだが、念のために猿ぐつわをするだけでなく、ローブをまくって手にしていた短杖ワンドやその他の荷物を全て回収している。


「すまないな」

 ポーションは高級品であるので重症者向けと考え、村人だけでなく敵兵や騎士団員の軽傷の人にはユリアンネが初級回復魔法≪治癒≫を使用してまわっていた。そのユリアンネに対する、騎士団の隊長の発言である。

 怪我の治療のことか、魔法攻撃なども含めた戦闘への介入のことか。



 村人への治療も完了した頃には夕方になっている。敵兵で治療が間に合わなかったものを含めて死体が7体。装備等も使い道がある可能性があると言われたため、前の村の5体と同様にシミリートが魔法の袋に収納している。

「で、4人の捕虜はどうしましょうか?魔法使いもおりますが」

「魔法使いの扱いが面倒だから、早めにステフェンに戻ることにする」


 よほど魔法使いの被害に懲りたのか、通常兵の3人の捕虜は騎士団員の馬の後ろに縛って乗せることにしていたが、魔法使いだけはシミリートに預けられてしまう。

 ローブをまくって認識できたのだが、魔法使いは女性であった。とは言っても、万が一を考えるシミリートにするとユリアンネの戦馬ゼラに乗せるという解はなく、自身の戦馬ライオの後ろに乗せて暗くなった街道を進む。

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