第313話 フィノイス周辺の村防衛2

 弓矢を持った敵兵から狙われるユリアンネ。

「ユリ!」

 シミリートが相手していた敵兵を放置して、盾を構えてユリアンネの前に立つ。

「無茶をするなよ」

「だって……」


 その場をしのげた後は、シミリートの代わりにその場所に入ったカミラの面前の敵兵を含めて、再び≪魔力矢≫を全員に放つ。その上で、まだ騎乗している1人に対して≪衝撃波≫を放ち、落馬させる。


「よし、皆で取り囲め!」

 シミリートの合図でユリアンネ以外の仲間5人と守備兵5人が敵兵8人を取り囲む。逃げ場が無いように、村の門の側などに≪石壁≫を立てていくユリアンネ。

 ただ、≪火槍≫や≪炎壁≫など殺傷力が高い魔法を発動することには抵抗があり、≪衝撃波≫や≪魔力矢≫などで味方のフォローをするだけにとどまっている。


 2人ほどの敵兵が武器を落とすほどの怪我をしたところで、シミリートが叫ぶ。

「ユリ、門の≪石壁≫の手前に≪炎壁≫だ!」

 指示に従い、敵兵とは重ならないように≪炎壁≫を発動させる。

「力の差が分かっただろう!降伏すれば命までは取らない!」

 仲間の顔を互いに見合わせながら迷っている気配の敵兵に対して、その隙をついて槍の武技≪豪撃≫で武器を叩き落とすシミリート。

「降参しろ!」

 あらためて力を見せつけることで歩兵から戦意を奪う。

「諦めるな!」

と叫ぶ騎乗していた男に対して、シミリートが槍で≪強打≫して失神させると残りの兵士は武器を手放して降伏してくる。


 周りから長物で敵の武器を手繰り寄せてから、村人たちが持ってきた綱で敵兵を縛り上げていく。

 ユリアンネたちは村人の治療作業に戻っていく。

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