第312話 フィノイス周辺の村防衛

 翌朝も、火は使わないがユリアンネの≪湯生成≫による温かいスープを飲んだ一行。

「では本日最初の目的地はこちらの村です」

 ステフェンの守備隊員が簡易な地図を元に、あらためて説明してくれた場所に向かう。


 これまでと同様に守備隊員がその格好を見せながら村の中に入り、敵兵がいないことを確認してから治療行為を開始する。

 順調に手分けしてポーションを怪我人に与えているところで悲鳴が聞こえてくる。


「敵襲!」

「な!お前たち、モンタールの兵士か!?」

 どうやらビザリア神聖王国の兵士が村に再び来てしまったようである。

「村人を守るぞ!」

 護衛でもある守備隊員が率先して村の入口に向かって飛び出していく。


「くそ!せっかく治療していたのに!」

 シミリートやジーモントもそれぞれ横に置いていた盾を構えて家から飛び出す。ユリアンネは重症者の治療中であったため、その男性の命を取り留めることができたことを確認してから村人の家を出る。


 村の入口には見覚えの無い兵装の騎兵が3人、歩兵が5人ほど。その周りを仲間の守備隊員やシミリートたちが地に足をつけて戦っている。村人たちも農具など長い物を手にして取り囲んでいる。なかには血が滲んだ布を身体に巻き付けている、治療前なのか治療後なのかわからない村人もいる。


「なんで他国に侵略なんてするのよ!」

 ユリアンネは怒りのまま≪魔力矢≫を見える敵兵の全てに、≪衝撃波≫を騎乗の3人に発動する。突然の魔法攻撃に2人は落馬したが、残った1人が叫ぶ。

「魔法使いが居るぞ!あれに集中攻撃だ!」

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