第250話 焼き入れ2
ユリアンネは前世知識で焼き戻しのことまでは知らなかったが、≪鑑定≫魔法で知った焼き入れと焼き戻しの工程をヨルクに教えた。
「そうか、これが秘伝の……」
「どういうこと?」
「あぁ、俺の周りでは具体的なことを誰も知らないが、どこかの鍛冶集団では秘伝のやり方があると言っていた。単に叩くだけでは得られないような品質らしい」
「私も詳しいことは分からないわよ。いま教えたところまでよ」
「いや、十分だ。それぞれどんな温度が良いのか、色々と試してみる。ユリ、ありがとう!」
ユリアンネは前世知識で水に熱い物を入れてジュっとする映像を見たことがあったが、もしかすると過去の転移者か転生者が伝えたのであろうか。ただ、ガラスのように普及していないのであれば、一部だけの秘伝にしたのかもしれない。
≪高級鑑定≫でも使用しない限りこれ以上は教えられることがないので、後はヨルクに頑張って貰うだけである。
それからしばらくはガラクタ市場で調達をしながら、生産行為を行い、神殿の露店で出品を続けている。ユリアンネはその調達の際に鑑定魔法の訓練も継続しており、ときどきは安く売られている高級品を見つけることができたが、吸血ダガー以降は特殊効果がある掘り出し物を見つけられていない。
生産活動をしていないシミリートは、槍の訓練以外にダガーの投擲の訓練も開始している。
ユリアンネの魔剣であるダガー、遅効性の麻痺、吸血の2つを活用するためである。自分には接近してくるまで何もする術がないことは考えていたらしい。
投擲はナイフの方がよく使われるが、槍も投げることがあるのもあり、ダガーでも、との思考である。片刃のナイフよりも両刃のダガーの方が効果アリとの先輩の言葉もあり励んでいる。
当然、魔剣そのもので練習できないので、その魔剣と同型のものをヨルクに頼んで製作してもらっている。
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