第249話 焼き入れ
思ったよりナイフやダガーが売れたので、ヨルクは欲を出して値上げしてみると途端に売れなくなる。冒険者達はたまに買うのだが、商人らしい者たちは損益分岐点がしっかりあるのであろう。
「中級上位だとこの辺りが限界なのかな」
珍しくヨルクが悩んでいるようである。
「ねぇヨルク、ナイフやダガーってどうやって作っているの?」
「いきなりどうした?ユリがそんなことに興味を持つなんて」
「この前、この黒いダガーを鑑定したときに大雑把な製法もわかったから、一緒なのかなって」
ユリアンネも前世知識で、金属製品を作るのに、型に溶かした物を流し込む方法と、叩いて形を整える方法があるのは何となく映像イメージがある。さらに、刀鍛冶が水にジュっと音がなるように焼けた刀を入れるイメージまでもある。
ただ、それらを鋳造と鍛造、そして焼き入れと呼ぶことまでは知らない。
しかし、そのダガーの大雑把な製造を知ったとき、鍛造と焼き入れであったのである。
「ほら、型に流し込んで作るのと、叩いで作るのがあるでしょ?それに水にジュって入れるんでしょ?」
「あぁ、安物の武器は、型で簡単に作る鋳造だが、俺は叩いて作る鍛造だぞ。それより水に何だって?」
「え?熱い物を水に入れて急に冷ますのってしないの?」
「ユリ、もっと詳しく教えてくれ!」
ユリアンネはそもそもの知識がまともにあるわけではなく、≪鑑定≫魔法で知った、水に入れること、その後にもう一度加熱することを伝える。それぞれが焼き入れと焼き戻しという工程名であり、硬くする、粘り強くする目的であることまでは当然に知らないままであるが。
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