第2話 プロローグ2
ここは迷宮とも魔窟とも言われるダンジョン。例えばここは地下2階に当たるにもかかわらず、木々が生い茂るだけでなくその上には青空が広がっており、夜になると地上と同様に月らしきものまで現れる特殊な空間。
また、自然環境が特殊なだけでなく、倒したはずの魔物がいつの間にか湧いて来る間隔が短い。地上でも魔素が集まるような場所で魔物が自然発生すると言われているが、頻度が違う。その魔物から入手できる素材や戦闘訓練のために冒険者が集まり、さらにその冒険者を商売相手にするためにダンジョンの周りに街が出来上がったのがこのトリアンという迷宮都市である。
このトリアンダンジョンは、一度行ったことがある階層にはダンジョン入口から直接行ける仕組みがある。そのため、戦闘力的に本人だけでは行けない階層へ護衛しながら連れて行くビジネスが成立するのである。
薬師ラルフは後継候補の長女アマルダが12歳になったので、薬草などの採取を教えるために浅い階層へ連れて行くことにした。次女ユリアンネはまだ9歳だが留守番させるよりはと一緒にダンジョンに潜ることにしたのだ。
ゴブリン3体を倒した護衛の冒険者たちは、ゴブリンの胸から薄い赤紫色の透明な石を取り出している。魔物が他の生物と決定的に異なる理由である魔素の塊の魔石である。
さらに討伐証明である右耳を切り取っている。これはダンジョンの魔物を放置しているとダンジョンから魔物が溢れ出して地上が襲われる魔物氾濫(スタンピード)が発生すると言われていることへの対策として、魔物討伐に対する報酬が別途与えられるからである。
弓士は使用した矢を抜き取り再利用可能か確認し、剣士はゴブリンの血で汚れた片手剣(ショートソード)をゴブリンの腰巻きで拭っている。
それを横目に、子供達は座り込んで先ほどの火魔法を思い出して話をしている。
「ユリ、やっぱり魔法が使えるのは良いわね。私はどれだけ練習しても上手くできないけれど……」
「でも、お姉ちゃんももう少し大人になれば使えるようになるかもよ」
「そうよね!もう少し頑張ってみるわ。ユリもそろそろ練習をはじめる頃かな」
「そうだな、ユリもそろそろはじめてみるか」
「パパ、ありがとう!」
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