part Kon 10/17 am 11:43




 

「大丈夫?キツくない?」


 

 あきちゃんの後ろに回り ウエストの部分の布を ぎゅっと引っ張る。

 ホントに細い腰回りで 想定してたのより だいぶ寸を詰めないといけない。

 下心もあったとはいえ やっぱ 直接着てもらってフィッティングして大正解。

 

 ただ こんだけ詰めるとシルエットも違って見えるかも。

 あたしのエプロンドレスとに見えるんだろうか?

 ……ちょっと不安になる。

 

 

「あー 全然 大丈夫です。もう少し詰めてもらってもイケるかもです」



 ってゆーか こんだけ詰めても まだ余裕あるし…。

 ホント 細すぎ。

 内臓とか 入ってるんだろうか?って心配になるレベル。

 


「うーん。これ以上 詰めると 一人じゃ脱ぎ着できなくなると思うんだよね。一応カジュアルってゆー課題だし。やっぱ こんなもんかな…」



 これ以上 ウエスト絞ると 横か後ろにファスナー付けなきゃいけなくなるし エプロンドレスってゆーよりドレスっぽくなっちゃう。

 のエプロンドレスにするには ここら辺が限度。

 わかってたことだけど キビシイ戦いになりそうだ……。

 


「ちょっとだけ動かないでね。まち針通すから…。オッケー。次 右側ね……。オッケー。じゃあさ 仮縫いしちゃうから 悪いけど もう一回脱いでくれる?」

 


 まち針で留めた背面の布をサッとしつけ縫いする。



「……ゴメンね。プレゼントって言って渡しときながら 完成してなくて……。…よっと 左側はこんなもんかな……。…で ホントに悪いんだけど 今日 持って帰らせてもらっても いいかなぁ? 家でミシンで仕上げて……さ 明日 渡すから……。……はい。しつけ縫い 完了。……よかったら もう一度 着てみてくれる? 仮縫いだけど 今日1日くらいなら ぜんぜん 大丈夫のハズだし…」



 あきちゃんは 文句も言わず エプロンドレスに袖を通してくれる。

 デザインラフ描いてから 5ヶ月。

 あたしの作品が形になった。


 

「どーです? 似合ってます?」



 あきちゃんは あたしの前でクルリと1回転してくれる。



「うん。スゴく可愛い」


「どーしました? なんかイマイチです?」


「ううん。この半年 色々あったなぁ…って。完成して あきちゃんに着てもらえて嬉しいんだけど。……なんか しみじみしちゃった」



 

 はじめは もっと少女趣味なイメージだった。

 色も淡くて明るい感じにしようって思ってたし。

 

 それが あきちゃんに色決めてもらったら 大人カワイイ感じに エプロンドレスが生まれ変わった。

 

 三原先輩のとこで布買ったり 七海堂でコットンレース揃えたりして 作品が少しずつ形になっていった。

 でも ずっと こんなカワイイ服 あたしに似合うわけないって思ってた。


 

 だけど あきちゃんのこと好きになって 綺麗って言ってもらって お化粧覚えて…。

 ……気がついたら お揃いでエプロンドレス着るのが 楽しみになってた。

 


 

 あたしも 生まれ変わってたんだな……あきちゃんのお陰で。




「あきちゃん。ホントにありがとう。全部 全部 あきちゃんのお陰だよ」


「…いや そんな…。そんなに 頭下げないでください。色決めお手伝いしたくらいで ホント 何もできてないですし…」



 あたしの この気持ちを あきちゃんに伝えたい。

 押し倒すとか そんなんじゃなくて 本気で。


 でも 7月のときは フラれてもいいって思って告白したけど 今は もう ムリ。

 フラれて 明日から あきちゃんに会えないとか たぶん 本当に生きていけない。


 バレーより好き。


 自他共に認めるバレー命のあたしだけど。

 それでも あきちゃんの方が好き。

 ………。

 ……。

 …。


  


           to be continued in “part Kon 10/17 am 11:52”






 

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