part Aki 4/22 am 6:19
「あきちゃんもティーグロ好きなんだ?」
〈ティーグロ〉って言うなって いつもなら訂正するところだけど こんのさんだから許す。そんなことより こんのさんがT-GROのファンだっていうことの方が100倍大切だ。共通の話題があるっていうのは 心強い。
「中学生の頃からファンなんです。『君を想うとき』っていう曲が好きでハマっちゃって さっきも帰りの電車で聴いてました」
「えっ あきちゃんも『君を想うとき』好きなんだ? あたしもよく電車で聴いてるよ。なんかさ~ 女の子なら あんな風に一途に想われてみたいよね」
……そうか。女の子視点だと 想う歌じゃなくて想われる歌になるのか。考えたくないけど やっぱり想ってくれてる彼氏さんとか いるんだろうか? ちょっとカマ掛けてみよう…。ポーカーフェイスで淡々と聞いてみる。
「こんのさん 美人だし こんのさんのこと想ってくれてる人とかいるんじゃないですか?」
ってゆーか こんのさんのことを片想いで好きな人って ボクなわけだけど…。
「え-っ あたし片想い専門だからな~。告られたこととかないよ~」
彼氏ナシっ! 心の中でガッツポーズ!でも ポーカーフェイス。
「あ~ でも 中学んとき 後輩の女の子から マジなラブレターもらったことは あるよ。あんときは ドン引きしたな~」
こんのさんは ケラケラと明るく笑う。こんのさんに取っては 昔の笑い話みたいだけど ボクに取っては 痛恨の一撃。女の子に告白されるとか そりゃ ありえないよね…。致命傷を負った気分だ。でも ポーカーフェイス…。
「あきちゃんこそ 彼氏さんとかいないの?」
来た来た。定番の質問。いつものように答える。
「あー アタシですか? あー ほら ウチって女子校じゃないですか。出会いが無くって。高校編入の子とかだと 中学時代からの彼氏がいるって子もいますけど アタシ 中学から聖心ですし…」
男に興味無いとか言うと 変人扱いされるし 下手すると警戒される。その点 女子校は 便利だ。男に興味が無いんじゃなくて 出会いが無い。こう言っとけば みんな納得してくれる。
「あっ そっか… 女子校も大変だね」
こんのさんも納得してくれたみたいだ。
電車は2つめの菊野井を過ぎ もうすぐ桜橋駅だ。
「ねぇ あきちゃん 中学から聖心行ってるんでしょ? 小学校は?」
「アタシ
「あっそうなんだ!けっこう家近くかも。あたし 桜橋南だったんだよ。国道沿いに〈
〈烈風伝〉? 国道沿いのお好み焼き屋? そう言えば見たことある気がする。……入ったことは ないけど。
「あー 知ってます。オレンジ色の看板のお店ですよね?」
「そう!そこ。あそこがウチの家。よかったら 食べに来てよ。けっこうおいしいんだよ。あたしがバイトしてる時間だったら 安くしとくし」
そんなことを話してる間に 電車は桜橋に到着する。改札口への階段を下りながら こんのさんが言った。
「あきちゃん家 桜台でよかった。Yin&Yan の角まで 一緒に帰れるね」
Yin&Yan? ああ 国道沿いのコンビニか…。いつもの通学路より 少し大回りになるけど 確かにそっちのコースでも 家には 帰れる。こんのさんと過ごせる時間が 少しでも伸びるっていうのは 嬉しいな。うん。そっちのコースで帰ろう。
「そうですね。一緒に帰りましょう。ただ アタシ 自転車なんで 駐輪場に自転車取りに行かなきゃなんです。ちょっと待っててもらってもいいですか?」
「うん。わかった。駐輪場の出口んとこで 待ってるね」
………。
……。
…。
to be continued in “part Aki 4/22 pm 6:40”
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