第12話 孤児院厨房



「……あら、王太子殿下にリーシャ様?」



 孤児院のちゅーぼーに行くと、お姉さんがいたわ!! 他のお姉さんやお兄さんも!!



「こんにちは!!」


「みんな、今日は強力な助っ人を連れて来たんだぞ!」


「「「助っ人??」」」


「あたしです!!」



 きっぱり言うと、みんなが『えー!?』って言ったけど。



「殿下!? リーシャ様ですが、幼い子どもですよ!?」


「お菓子作りはお得意なのは知っていますけど……私達が作っているのはパンですよ!?」


「ふっふっふ!! 安心してくれ!! リーシャにも、特別な異能ギフトが使えるようになったんだぞ!!」


「「「え?」」」


「ミア!!」


『でしゅ!』



 影から出てきたミアが、ポンっと……あの箱のホームベーカリーになったわ。


 お姉さん達は、もっと驚いてお口あんぐりになっちゃったけど。



「「「えぇえ??」」」


「あたしの異能は、『幸運の錬金術ラッキークッキング』なの!!」


「……リーシャ様? それでどうやってパンを?」


「えっとね?」



 ケイミーのお姉さん達にも、ちょっと手伝ってもらって……材料をホームベーカリーに入れて。


 ボタンを押して、時間短縮クイックも見せて。


 ポンっと、音が鳴ったら……いい匂いがしてきて。


 お姉さん達も、ごくんとツバを混んだわ!



「開けるんだぞ!!」



 伯父様がフタを開ければ……もっといい匂い!!


 食パンが焼けたわ!!


 ステータスも出てきたけど、まだレベルには追いついていない。お母様も言ってたけど、同じのを何回か作るとptは少ないんだって。そこは一緒みたい。


 あっついので、伯父様がミトンで入れ物から出して……コロンと出てきた食パンを、お姉さん達がじーっと見出したわ。



「……すごい」


「型は小さいけど、ちゃんとパンだわ!」


「味は……殿下がおっしゃるなら、チャロナ様と同じくらい」


「うむ! 味は我が妹のと遜色ない!」


「おいしーよ!!」


「「「ゴクリ」」」



 お姉さん達も食べたいと思ってくれたみたい!!


 ちょっと冷ましたら……トーストの方がいいかな?


 お父様が大好きな、バターといちごたっぷりのトーストもいいわ!!



「あの、リーシャ様」



 クラットのお兄さんが、あたしを呼んだわ。



「なーに?」


「これで……トースト作ってもいいですか?」


「うん!」



 せっかく作ったんだもん。食べれないのは大変だもんね!!


 冷ます魔法は、お兄さんがやってくれたわ。


 で、ちょっと大きめに切って……バターたっぷり乗せて焼いて。お姉さん達がジャムをいくつか用意してくれたら。


 伯父様がマザーも呼びに行ってたので、ここでトーストを食べることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る