第4話 幸運の錬金術①

 異能ギフトって言うけど……ミアが変身した箱が、お料理を作れる道具だとは思えなくて。


 でも、せっかく使えると言うのなら……ダメって思っちゃいけない。


 重くないけど、箱のフタを開けてみよう。


 床の上に置いて……パカっと開けてみたら。



「……これ、なぁに?」



 ほとんど空っぽで、底になんかあるだけ。触ってみるとくるくる回る。


 どこかで見たことがあるような無いような?



『みにゅ! この箱は『ほぉむべぇかりぃ』でしゅ!』


「……ほーむべーかりー?」


『材料を入れれば……パンが出来るでしゅ!』


「へ?」


「え!? それだけでパンが出来るの!?」



 あたしがびっくりしていると、サリー姉もびっくりしながらこっちに来てくれたわ。


 ミアには触らないけど、ミアには興味があるみたい。



『みゅ! 順番守れば出来るでしゅ!!』


「へー! リーシャ!! やってみない!?」


「……本当に出来るかなあ?」


「おば様のとは違うけど、せっかくの異能でしょう? やってみなきゃわかんないわ!!」


「……うん」



 さっきも思ったけど、やってもいないのに出来ないと決めつけるのは良くないわ。


 お母様とロティとは違う異能。


 どんなものか、まだはっきりわかんないけど……やってみよう!


 私が頷くと……目の前に、なんか板が出てきた!?



【『幸運の錬金術ラッキークッキング』のチュートリアルへようこそ。


 初回はホームベーカリーでパンを製造してみてください。


 材料をナビゲーターシステムに聞き、順番に投入していけば作れます。


 レベル1なので、食パンからですと『時間短縮クイック』のみ扱えます。


時間短縮クイック』の使用法もナビゲーターに従って作動させてください。



 】



 って言うのが見えた!?


 板は浮いたまま消えないけど……これなぁに?


 なんか、知っているような気がするけど。



『みにゅ! しゅてーたす画面が出たので、ご主人様が食パンを作るんでしゅ!!』


「……ステータス?」


「私見えない! ステータスが出てるの!?」


「……僕も」



 いつの間にか後ろにいたミラクルにも見えていないみたい。シェトラスやレイバルスにも首を振られた。


 ってことは……本当にあたしだけの、異能。


 食パンっことは……サンドイッチやトーストで出てくるパンだわ!



「ミア! 作ってみたいの!! やり方教えて!!」


『でしゅ! まずは材料集めでしゅ!!』



 ミアが教えてくれた材料は、さっきコーンパンを作る時と似たような材料で。


 ただ一個。ドライイーストだけは一緒にしちゃいけないんだって。他は一緒にミアの『ホームベーカリー』の中に入れていいんだけど。

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