第3話 パンが作れない



「「「うぇえ〜〜……」」」



 シェトラスの言うことをちゃんと聞いて。


 手がべちゃべちゃになっても……がんばって作ったんだけど。


 出来上がった、はじめて作ったコーンパンは……全然美味しいものじゃなかった。


 モチャモチャで、ゆるゆるで全然美味しくない!!



「ふぅむ」


『やっぱ、チャロナはんがいないと最初は難しいでやんすね?』


「そうだね……」



 お母様のパンは。


 どんなパンでも……すっごく美味しいのに!


 娘のあたしは……お菓子はよくても、パンが作れないだなんて!!


 ダメダメだわ……。


 だから、悲しくなってきて。



「……ふぇ」


「う……」


「……うぅ」



 あたしもだけど、ミラクルやサリー姉も同じようになってきたのかも。


 ミアは違ったけど……三人で思いっきり泣き叫んだのだった。



『えぇえ!?』


「おやおや、大丈夫ですよ? お嬢様方」


『……いや、シェトラスはん。それ逆効果』


「あ」



 たしかに、レイバルスが言うように……あたしはもっと悲しくなって、泣いて泣いて。


 あんまり泣かないサリー姉までビービー泣くんだもん。パンがうまく作れないのが、こんなにも悲しいだなんて思わなくて。


 赤ちゃんじゃないのに……失敗がすごく悲しくて。


 泣き止むのもなかなか出来ない。


 どうしたら……と、思っていると。



『みにゅみにゅぅう!』



 どうしたんだろう?


 ミアが急に叫んで。


 ちゅーぼーの中が……真っ白な光でいっぱいになった!?


 あたしはびっくりして、サリー姉に抱きついていたミラクルに抱きついた!!



「ミア!?」



 あたしがミアを呼んだら……ぽんって可愛い音が聞こえてきた。


 光も消えて……ミアがいたとこには。


 四角い大きな箱があったの!



『お? ミア??』



 レイバルスがミアらしい箱に声をかければ……カタカタと揺れたわ!



『ミアでしゅ! ははうえのように出来たでしゅ!』


『え? 幸福の錬金術ハッピークッキング?』


『みゅー。幸運の錬金術ラッキークッキングでしゅ!!』


『えぇえ?』


「……なにそれ?」



 お母様が使ってた……ロティとかを使う異能ギフトと同じなの? 違うの??



『異能でしゅ、ご主人様ぁ!』


「……ぎふと?」


「……え? リーシャにも異能?」


「……す、ごい」



 サリー姉たちもびっくりして泣き止んでくれたけど……ミアの箱はなんなんだろう?


 もっと前に……お母様がロティに変身させてた異能とは全然違う。


 これで、パンとかお料理が作れるのかな??


 ミラクルから離れて……ミアのとこに行けば。


 ミアはゆっくり下りてきて、あたしに箱を抱っこさせた。


 なんか……窓があって、中は空っぽに見えたわ。

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