第6話 ごあいさつ


「えと……よろしくお願いします!」



 蔵におじいちゃんともどってきたら、まず美濃みのさんにきちんとあいさつだ。



『ほっほ。よろしくのお、桜乃さくの



 美濃さんがそう言ってくれると……頭をなでなでしてもらえた。



「……美濃。昔みてぇにここでするのか?」


「……ここで??」



 おじいちゃんの言っていることがわかんなかった。


 パンを……蔵の中で作れるの? あぶなくないかなあ?



『左様。火の管理は段蔵だんぞうが気をつければ良い。無論、あちきもするさ? 桜乃には美味いパン作りを教えてやりたいからのお?』


「……何作らせる気だ?」



 おじいちゃんがいるから大丈夫だって言うけど……道具もほとんどないのに、どうするんだろう?


 すっごく、ワクワクしてくるわ!



『そうさの? 桜乃が作ることに意味があるゆえ。そちにも最初作らせた……白パンあたりがいいじゃろうて?』


「……それならいいが」


「……白パン?」



 えーと、えーと。どんなパンだっけ?


 あんぱん、クリームパン、ジャムパンにチョコ……うーん、わかんない。


 でも、美濃さんが言うならむずかしくないのかな?


 おじいちゃんもいいって言っているし?



「桜乃。ミニホットドッグ作る時に使う、丸いパンだ」


「! ウィンナーの!」


「そうそう」



 あたしの手よりちょっと大きい……丸いパンだ。


 あれが作れるの?


 うれしい!!



『そうじゃ。基本的なパンゆえ、応用……色々使えるのじゃ。丸めの練習にもなるからの? 色んなパンを作る上での基本ともなるのじゃ』


「……ほかのにも?」


『うむ』


「だな。丸めが出来なきゃ、成形も出来ん」



 作ってみなきゃわかんないけど……がんばろう!


 材料は? と思ったけど……美濃さんがあたしの手をにぎって『ままごとキッチン』の方に連れてってくれた。



「美濃さん?」


『桜乃、あちきの本体を触ってほしいのじゃ』


「……ままごとキッチンに?」


『うむ。すぐにわかるぞ?』



 ふふっと笑ったから……あたしは言われたとおりに、キッチンにさわってみると。



 ポポポポンっ!



 って、大きな音とピンクのけむりが出てきて……あたしもだけど、おじいちゃんもゲホゲホ言ったわ!



「……うわぁ!」




 だけど、煙が消えていくと。


 キッチンがあったところには……ピンク色の、お店のちゅーぼーにあるような、お家のよりもすっごいキッチンがあったわ!!


 かわいくて、ペタペタ触っちゃう!!



「……こりゃまた。桜乃好みだなあ?」


『女らしくて良かろう?』


「だからって、窯までピンクかよ……」



 おじいちゃんが言うとおり……パンを焼くとこもピンクでかわいかった!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る