第16話 水香復活

 林サミコの表彰式,それは,彼女の大泣きによって中止された。もともと,この表彰式をダシにして,森タミコと一影たちの魔法対決の場を提供し,かつ,銀次の死体を破壊するという,2つの大きな目的があった。


 その目的は,大成功に終わった。でも,林サミコが大泣きしてしまい,その後,予定していた警視長官からの授与式も中止せざるを得なかった。


 それでも,林サミコは,年俸3千万円という破格の顧問契約料を確保し,かつ,警視庁本部には,いつでも出勤していいという身分だ。身重のまな美が多留真の自宅で在宅勤務という形をとっている都合上,林サミコが,警視庁本部に出勤すると,特捜課のまな美の机を間借りして座る。


 超現象捜査室でも良かったのだが,室長が,夏江のことを考慮して断った経緯がある。


 林サミコは,警視庁本部に出勤するのは,超楽しみだ。だって,特に,α隊の連中が特捜課に入り浸りになって,特製ケーキ持参で魔法談義するからだ。


 林サミコは,魔法は詳しくない。でも,百科事典のコブラ姿の師匠がいる。そのことを知ってからは,α隊が,林サミコのために,特別のスイートルームを準備して,24時間,リラックスできるスペースを確保してあげた。しかも,一流シェフをつけて,デザート三昧,豪華食事三昧だ。


 ちょっと,おかしな事件が発生しても,林サミコに聞けば,即座に解決した。彼女は,オーラも見えるし,霊力も見える。しかも,魔法に関して百科事典のコブラもいる。


 だから,警視庁本部は,特にα隊なのだが,できるだけ本庁に来てもらうように,あの手この手の方策を採っていた。


 キサラギ財閥の当主も,林サミコを警視庁に,いつまでも置いておくつもりはない。警視庁に行ってもいいが,双修という名目のため,必ず,午後4時には,警視庁から出ること!と厳命された。林サミコは,当主の奴隷ではないが,当主の体で双修をしてしまうので,思わず,当主が言うことは,はいと返事してしまう。


 銀次がいないのは寂しいし,悲しいが,でも,時間とともに,その寂しさは,徐々に薄れていった。


 そんな折,α隊隊長は,多留真に嫌味な言葉を吐いた。


 α隊隊長「多留真,お前の子供,銀次の遺伝子に侵食されているんだってな。フフフ,可哀想に」

 

 多留真は,初めは何のことか分からなかった。でも,詳しく魔法因子の特性を理解して愕然とした。


 数日後,多留真は,親子鑑定結果を入手した。


 ガーーン! まな美のお腹の子は,多留真の子ではない!


 多留真は,その結果をまな美に見せた。


 多留真「これは,どういうことだ?」

 まな美「それって,魔法因子の特性のためです」

 多留真「お前,俺が知らなかったら,俺の子として産んで,そのまま知らんぷりするつもりだったのか?」

 まな美「・・・」


 多留真は,毎日,まな美に暴力を振るったが,この時は,特別に気狂いに近い状態で暴力を振るった。


 まな美は,お腹の子のために,ズーッと暴力に耐えた。胸だって,暴力を受けるたびに,自分で回復魔法をかけていって,今では,両方で60kgにもなってしまった。まともに歩ける状態ではない。


 多留真は,いくら暴力を振るっても,回復魔法で回復するからと,まったく容赦はなかった。


 まな美「多留真,約束です。ここまで巨乳になったのですから,結婚してください!」

 多留真「あほぬかせ! 誰が他人の子を産む女と結婚するんだ。この部屋に住まわせてもらうだけでもありがたいと思え!」


 多留真が,まな美を追い出さないのは,好き勝手に暴力を振えるし,いくらでまな美を犯せるし,豊満すぎる超乳を味わえるからだ。まな美も今さら,他に行くところもないので,エスカレートする暴力に耐えた。


 多留真は,とうとう足蹴りで,まな美のお腹を何度も蹴り倒した。

 ドンドンドン!


 まな美は,とっさにお腹を守った。でも,5,6発は確実にお腹にヒットした。


 多留真「ふん! 今日のところはこれで勘弁してやる!」

 

 多留真は,さらに暴力を振るう口実ができたと内心微笑んだ。しかも結婚しなくていい! まな美は,このまま飼い殺しして,監禁していけばいい! 


 多留真は,だんだんとおかしな発想になっていった。


 だが,まな美は,ふと,おかしな感覚に襲われた。以前,霊力を少しイメージトレーニングしたとき,感じた霊力の存在を感じた。


 それに,さきほどお腹を何度も蹴られたのに,お腹のダメージがまったくない。


 まな美『もしかして,霊力が生まれたの? いや,そんなことはない。霊力を産むのは,メリル様だけだ。ならば,,,』


 思い当たるのは,銀次とのエッチの時だ。そのとき,魔法因子を受けたのだが,一緒に,霊力も注入された?


 まな美は,ハルトに電話して,その可能性を聞いた。ハルトは,間違いなく,その時に,かなりの霊力がまな美に移動しただろうと説明した。もともと霊力は子宮に巣くう性質がある。それがないハルトは,丹田の部位に核を構築しなければならない。


 しかも,まな美の場合,かつて霊力を扱ったことがあり,霊力が移行しやすい環境にあったことも要因したのだろうとハルトは解説した。


 まな美は,ニヤっと微笑んだ。いくらでも多留真も暴力を受けてやろう。霊力をうまく操って,体中に霊力の青あざや赤あざをつけてやろう,,,


 まな美は,霊力をそこそこ操ることができた。


 以前,霊力のイメージトレーニングを経験したことがあるし,魔装服を着用するときにもイメージトレーニングを経験したことがある。そのためか,霊力を皮膚の表面に展開でき,かつ,着色もできた。まな美がイメージした赤あざや青あざをリアルに展開できるようになった。


 翌日,全身,霊力による赤あざや青あざをつけて,まな美は,乳房だけで60kgというとんでもないグロテスクな体をして,警視庁に行くことにした。


 多留真によって暴力を受けたことを,それとなく知らしめるためと,貸与されている電子機器のメンテナンスのためだ。


 まな美が久しぶりに警視庁に登庁すると,彼女を知っている人から,子を


 友人A「まな美,あなた,どうしたの? その体?! 赤あざや青あざだらけじゃない!」

 まな美「多留真から,毎日,暴力を受けているの。巨乳になれば結婚してくれるって,言ってくれたのに,結婚してくれないのよ。毎日,泣いて暮らしているわ」

 有人B「あらら,じゃあ,一度,気分転換に林サミコ最高顧問の部屋に行ったら?」

 まな美「え? どうして?」

 友人B「ここだけの話だけど,彼女も毎日泣いているだって。それで,自分のよりも悲しい人の話を聞きたいのよ。自分よりも不幸な人を知ることで,自分はまだ幸せなんだって,感じたいらしいわ」

 友人A「それがいいわ。彼女の部屋,超豪華らしいわよ。最近は,クララさんがよく遊びに行っているらしいわよ。超豪華なデザートが出るんですって。わたしも行きたいけど,わたし,超幸福だし,不満もないし,,,彼氏との関係も良好だし,,,それに,彼女,すぐにウソを見破るらしいからウソも言えなし,,,ホントの幸せな話したら,彼女からすぐに殺されてしまうわ。フフフ」

 まな美「・・・」


 まな美は,システム部に行って,電子機器を提供した,その際に,この青あざや赤あざが多留真の暴力によってつけられたことを,それとなくほのめかした。しかも,超乳になる条件で多留真と結婚する約束をしたのに,結婚してくれないことも,涙を流しながらほのめかした。


 その後,特捜課の部長に簡単に挨拶して廻った。もちろん,あざのことや,超乳のことを聞かれると,上述のようなことをほのめかした。


 多留真は,周囲の目から,突き刺さるような冷たい視線を受けた。でも,事実だし,まな美に文句も言えない。それに,『ほのめかす』程度であり,別に多留真をセクハラなどで訴えることはしないと明言している。


 「たしかに多留真課長から,少しだけ叩かれたかもしれません。でも,わたしが,ちょっと彼の気に障ることを言ったのが原因なので,いいんです。わたしが悪いんです。だから,セクハラでもなしい,そんなことで訴えるつもりはありません」というような表現で部長などには報告した。


 一通り,廻るところを廻った後,林サミコ最高顧問の部屋に寄ってみた。


 今の林サミコ最高顧問は,α隊の専属顧問のようになっている。魔大陸出身のピアロビ顧問が,自分の世界に戻っているので,魔法関係で聞く人物がいない。そんなところに,警視庁長官直属の林サミコ最高顧問が来た。


 警視庁長官も,林サミコ最高顧問が出勤するときは,必ず,彼女に挨拶する。だって,彼女のおかげて,長官職を首にならずに済んだ。それくらいのことをすることなど,どうってことはない。彼女と15分程度,お茶を飲みながら,話をする程度のことだ。幸いにも警視庁長官にも14,15歳くらいの娘がいるので,娘が反抗期でどうしようもないという娘の話題を切り出せば,少しは話が弾む。


 まな美と林サミコは面識がある。だから,まな美は,さほど緊張せずに林サミコの部屋に来た。ちょうど,林サミコ以外,誰もいなかった。彼女の机には,デザートが山盛りになっていた。それを食べるために,毎日,せっせと警視庁に出勤する。それがなければ,誰がこんなことろに来るものか!


 林サミコ「また一段とおっぱいが大きくなったわね。よくその重たいおっぱいをひっさげて歩けるわね」

 まな美「でも,やっと,回復魔法を使わずに多留真の暴力を回避できるようになったの。これから,徐々に痩せていくわ」

 林サミコ「ふーーん,そうなの? でも,どうして,霊力で赤あざや青あざをつけているの? そんな霊力操作をするの,大変でしょう?」

 まな美「え? あなた,裸眼で霊力が見えるの?」

 林サミコ「当たり前よ。魔獣族にとって,霊力使いは敵よ!敵! 霊力を見るのは基本中の基本なの! でも,先日のメリルが来た時には,超ビビったわ。あのメリルが敵なら,魔獣族が壊滅一歩手前までいったのもうなずけるわ」

 まな美「あなた,魔獣族なの?」

 林サミコ「いいえ,月本国の普通の乙女よ」

 まな美「・・・」


 林サミコは,まな美のお腹を見た。なんかちょっとおかしいと思った。


 林サミコ「まな美さん,そのお腹,服を脱いで,しかりと見せてくれる?」

 まな美「かまわないけど,どうして?」

 林サミコ「ちょっと,超気になるの」

 まな美「?」


 まな美は,服を脱いで,全裸になった。この際,彼女にしっかりと見てもらうためだ。林サミコは,まな美のお腹を注意深くみた。さらに,指を針に変化させて,陰部から挿入して,内部の状況をさらに探った。


 しばらくして,針を引き抜いた。


 林サミコ「わるいけど,そのまま,裸でいてちょうだい」

 まな美「どうして?」

 林サミコ「どうしようかな,,,こればっかりは,師匠に聞いても,わからないし,,,」

 まな美「ねえ,もったいぶらないで教えてちょうだい」

 林サミコ「まな美さんは,健康な,強者になれる赤ちゃんを産みたい? それとも,普通のか弱い赤ちゃんを産みたい?」

 まな美「もちろん,前者よ。バッタバッタと相手を斬り捨てる,超強い子がほしいわ」

 林サミコ「じゃあ,今日,その子を産みなさい」

 まな美「はあ? 冗談でしょう?」 

 林サミコ「冗談ではありません。そもそも,その子供,ちょっと,おかしいです。わたし,霊体の存在を強く認知できるようになりました。その霊体,赤ちゃんではありません。12歳くらいの霊体です。それも,超強い能力を持っているようです。今,まさに,その能力を発現しようとしている感じです」

 まな美「どういう意味?」

 林サミコ「簡単にいうと,胎児と霊力を霊体が融合させているという感じでしょうか?」

 まな美「え?融合?」


 林サミコ「でも,このまま,のんびり時間をかけていくと,霊力が提供されないと枯渇していき,せっかく融合して強化された肉体も,普通の赤ちゃんになってしまいそうです」

 まな美「じゃあ,林サミコさんの,時間加速を使って,霊力が充分にある状況で子供を産んでしまうってこと?」

 林サミコ「はい,そう理解ください。時間加速しても,影響を受けるのは細胞分連のみ。霊力に対しては時間加速を加えません。今は,豊富に霊力があります。この状態で,生まれて,さらに成長を加速させれば,霊力を自分で生み出せるようになれると思います。


 この部屋には,腐るほど魔鉱石がありますから,それを全部使えば,実現可能です。今日にでも,霊体の年齢と同じ12歳くらいの女性の肉体を出現させることができると思います」

 

 まな美は,それをしてしまうと,多留真との結婚が完全にできなくなると思った。でも,,,また,新しく,多留真の子を妊娠すれば? そんなことを思うと,まな美は,やっぱり,多留真が好きなんだと思った。


 まな美「わかりました。では,この子に時間加速をかけてください」

 林サミコ「了解しました。では,胎児に時間加速を行います」


 林サミコは,自分の足元に大量の魔法石を持ってきて,両足をそこにつけた。足の裏から魔力をドンドンと吸収していった。


 林サミコの両手は,まな美のお腹に当てた。まな美の胎児に時間加速をさせるためだ。


 胎児の細胞分裂が急速に加速していった。それに伴い,まな美のお腹の膨らみは,妊娠4ヶ月,5ヶ月,,,,8ヶ月,9ヶ月,そして,とうとう妊娠10ヶ月に達した。


 ここで,一旦,時間加速を中断した。


 林サミコは,警視庁内の保健室に連絡して,助産婦さんを呼んだ。もともと,クララが妊娠しているため,クララのために常駐させた。それが今回,幸いした。


 助産婦のアシストで,まな美は,無事に女の子を産んだ。まな美は,豊満な胸から大量の母乳を与えた。その赤ちゃんは,どんどんと母乳を飲んでいった。


 林サミコは,助産婦さんにお礼を言って,保健室に戻ってもらった。ただし,この場でまな美が赤ちゃんを産んだのは,内緒にしてもらった。


 まな美の片方で30kg,両方で60kgにもなる乳房は,どんどんと母乳を吸われてしまい,徐々にその大きさを縮小していった。その赤ちゃんは,まだ時間加速の影響を受けているようで,飲んでも飲んでも餓えてしまうようだった。


 まな美の胸は,とうとう10分の1の,片方3kg,両方で6kgの,ある意味,常識の範囲の巨乳に縮小した。


 林サミコは,念話で,その赤ちゃんに話かけた。


 林サミコ『あなたの霊体年齢は,12歳くらいですね? どうしますか? このまま赤ちゃんから人生をやり直しますか?それとも,12歳くらいからやり直しますか?』

 赤ちゃん『えーー? そんなこと出来るのですか?』

 林サミコ『はい,ここには,魔力が腐るほどあります。ご要望に応えましょう。でも,しばらくは,わたしの奴隷でいてくだしね?』

 赤ちゃん『奴隷でも何でもします!では,12歳の肉体でお願いします』

 林サミコ『了解です。では,12歳の肉体にします』

 

 林サミコ「では,赤ちゃんに時間加速魔法を継続します」

 

 林サミコは,その赤ちゃんに時間加速魔法を展開していった。


 3ヶ月,,,7ヶ月,,,1歳,2歳,,,,5歳,,,8歳,,,10歳,11歳,そして12歳に変化していった。


 林サミコは,霊体の年齢に合わせて,そこで時間加速を止めた。


 足元に用意した魔法石に含まれた膨大な魔力が,ほぼすべて消費してしまった。

 

 そこに立っている女性は,遺伝子的には,まな美と銀次の子供だ。でも,なんとなく,水香に似ていた。


 その生まれたばかりの女性は,身長140cm,Gカップ,お尻回り1メートルもある肉感的な女性だった。


 林サミコ「あなた,いったい,誰ですか?どうして,12歳ほどの霊体がそこにいるのですか?」

 水香「わたし,水香です」


 この言葉に,まな美は心当たりがあった。多留真の子を妊娠したとき,メリルに妊娠したと信号を送った。でも,まさか,死んだはずの水香が,今,目の前に現れるとは,,,まだ,札幌決戦の記憶が新しいのに,,,


 まな美は,以前,水香に新しい身分を与えた。でも,自殺者をどんどんと出して,ミサイル攻撃を受けるという羽目になったなどを思い出した。


 林サミコは,クローゼットから予備の服装一式を水香に渡して着るように言った。


 林サミコ「水香さん? 例の大量殺人犯で,札幌決戦で死亡した水香さん?」

 水香「はい,そうなっています」

 林サミコ「ふーん,そうなんですか,,,それで,あなたは,どんな能力を持っているの?」


 水香は,自分の体を確認した。予想通り,肉体と霊力が完全に融合した体だ。この体は,メリル様の体にかなり近いものだと感じだ。かつ,霊力を生成できる体だ。生前の記憶が正しければ,水香の思念を,そのまま体現できる体の可能性がある。


 水香「たぶん,わたしの念じたことはある程度実現できます。ミイラになれとか,自殺しなさいとか,人を殺せとか,火だるまになって死ねとか」

 林サミコ「・・・」

 まな美「・・・」

 

 水香「それと,霊力が使えるなら,わたしの攻撃範囲は,1kmくらいはいけると思います」

 林サミコ「・・・」

 まな美「・・・」


 水香「加速技はできません。でも,変身はできます。でも,この肉量は変化できません,身長を縮めれば,太ってしまいます。でも,胸の膨らみやお尻は,かなり自由に変更できます」

 林サミコ「・・・」

 まな美「・・・」


 水香「それに,わたしに命令するのは,和輝様とメリル様だけです。サミコ様には,今から1ヶ月間,奴隷になります。よろしくお願いします」


 林サミコこそ,和輝(銀次)の奴隷になりたいのに,またライバルが現れた。これなら,赤ちゃんからやり直してもらったほうがよっぽどよかった。

 

 まな美「水香,あなた,ちゃんと理解しなさい! わたしがあなたを産んだのよ。あなたの母親になるのよ。わたしの命令を聞くのは当然でしょ!」

 水香「そうでした。では,今から1ヶ月間,林サミコ様とまな美さんの奴隷になります」

 

 林サミコは,なんか,まったくやる気をなくなした。

 

 林サミコ「水香さんのことは,まな美さんに任せました。わたし,水香さんにはノータッチです。まな美さん,水香さん,この部屋から出て行ってくれますか?」

 

 林サミコは,水香を放棄した。まな美に押しつけれたようなものだ。


 まな美としても,母親の権利を主張したものの,水香をどう扱っていいのかわからない。こんなやばい能力を持つ女性をどう扱えばいいのか?


 ふと,メリルのことを思い出した。メリルとは,お腹を10回叩くことで連絡できる。水香が生まれたということは,その信号は,水香に移動しているのではないか?


 まな美は,水香のお腹部分に,10回ほど叩いてみた。


 でも,すぐには何も起きなかった。


 まな美「やっぱり,連絡はできないみたいね」


 そう言った時,水香は,その場から消滅した。


 林サミコ「え?水香,消えたちゃったわよ」

 まな美「・・・,メリル様が召喚したのでしょう。これでよかったのかもしれません。メリル様以外,水香を扱いきれる人はいないと思います」

 林サミコ「え?それって,水香は,銀次さんのところに行ったってこと?」

 まな美「そうです」

 林サミコ「水香は,銀次さんの奴隷になったってこと?」

 まな美「そうです」


 その話を聞いて,林サミコの眼から涙が出て来た。


 林サミコ「わーーん,わーーん! また,銀次さん,取られたーー」


 林サミコが迎える理想の日は,,,はるか遠い。


 まな美も林サミコも,ここで起こったことは内緒にした。


 まな美は,お腹の子は流産したことにして,また,最初から多留真とやり直すことにした。


 ーーー

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