第18話 身代わり

 夏江は,男子トイレの便座の上に座らされた。

 

 蛭部「夏江先生,林ミサコの映像データは消去してあげるが,夏江先生の動画が撮らせてもらう」

 夏江「いいえ,わたしを撮るのは禁止です。どうしてもというなら,林ミサコさんを虐待してきたことを公にします」


 そうは言っても,夏江はすでに多留真に念写による証拠で彼らを警察に売った後だ。後は,多留真の判断に任せてある。


 しかし,そんなことを知るはずもない蛭部たちは怯んでしまった。ここで,蛭部は疑問に思った。彼らの弱みを握っているのに,なんで夏江先生は自分の身を差し出すような真似をするのかと,,,,


 蛭部は,その理由まで思いつくことはできなかった。彼は,心の中で叫んだ。『ええい,ままよ!! 夏江先生を犯してしまえ!!』


 蛭部「では,夏江先生,服を脱いでもらおうかな?」

 夏江「わかりました。わたし,多人数に見られるのはイヤなので,1人ずつでお願いします。ひとり10分もかからないで,昇天してあげます」


 この言葉に蛭部は異存なかった。ただし,本来なら蛭部が率先するのだが,彼は,その順番を一番最後にした。何かがひっかかったからだ。


 蛭部は,同じ学年の2年生のひとりに,先に対応しろと指示した。彼は,ニコッと笑って,夏江が便座に座っているトイレに入り,ドアを内側から閉めた。


 10分後,,,


 そのトイレのドアが開いて,夏江が出てきた。彼女の服は,少し乱れていた。明らかに,今,着直したばかりだ。


 夏江「彼は気持ちよすぎて,寝てしまいました」


 その言葉に,蛭部たちは,そのトイレの中を見た。すると,そこには,明らかに放出した跡のあるあれを丸出しにして寝ている彼がいた。


 他のワルは,思わす叫んだ。


 「意識が飛ぶほど,気持ちいいのか?!」


 その言葉に,夏江が応えた。


 夏江「どうもそうみたいね。彼を移動してちょうだい。次の人,どうぞ」

 蛭部「・・・」


 蛭部は,何かがおかしいと思った。確かに放出したあとはある。でも,,,


 磯部は,もうひとりの2年生に対応するように言った。そう言われた彼は,何も疑問を感じないで,夏江先生と一緒に狭いトイレに入って,ドアを閉めた。


 10分後,,,


 同じように果てて,寝入ってしまった彼がいた。蛭部は,疑問を強く感じつつも,1年生に,順番に対応するように命じた。


 4人目の1年生が夏江の対応をしている間に,蛭部は,床に寝かされた3人の仲間の様子を詳しくみた。すると,さきほどは気がつかなかったことだが,顔つきが30代の壮年のようになっているようだった。それに,頭に白髪が少し交じった部分もあった。

                                                  

 蛭部「こっ,これって,どうしうことだ?」


 蛭部が異常を発見した時,トイレのドアが開いて,夏江が出てきた。


 夏江「あなたの番よ。寝てる彼をどけてちょうだい」


 蛭部は,同じく彼の顔をみた。やはり,明らかに壮年の顔に変化していた。つまり,この10分の間に,20年以上も歳を取らされたということだ。


 蛭部は,夏江の顔をみた。最初に夏江先生を見た時,彼女は美人でか弱いイメージを持っている先生だと思った。だが,今は違う。夏江先生は悪魔だ!妖怪だ!


 蛭部は,2,3歩あとづさりした。


 蛭部「お前,,,彼らに何をした! 顔つきが壮年のように変化しているぞ!!」 


 その言葉に,夏江は何も動じなかった。相変わらず,か弱さを醸し出して言った。


 夏江「えー? 何を言っているのですか? わたし,,,彼らに犯されたのですよ。林ミサコさんの身代わりになったのですよ。あなたにも,犯されてあげます。母乳だって,飲ませてあげますよ」


 蛭部は,ワルグループのリーダーだ。小さい頃から空手を習っていて,有段レベルに達している。まともにケンカすれば,相手を殺すことだって可能だ。


 蛭部「お前,正直に話せ!彼らに何をした。さもないとお前を攻撃する。俺は空手2段だぞ!」


 空手2段と聞いて,夏江はちゃんちゃらおかしかった。警察学校で優秀な成績を収めた夏江にとって,空手2段がどの程度の腕前かは容易に想像がつく。霊力を使わなくても,素手で彼を組み伏せることもできるほどだ。


 ただし,爆乳が邪魔しなければの話だが,,,


 夏江「フフフ,知り得たかったら,私を倒してからにしてちょうだい」


 夏江は開き直った。 


 蛭部は,教師に手を出すのは少々まずいと思ったが,今の状況では,やむを得ない。 彼は,得意の回転回し蹴りを放った。

 

 パーーン!


 その足蹴りは,夏江の腕によるブロックで防がれた。正確に言うと,腕に展開した霊力の層によって防がれた。


 夏江の体に霊力の防御層を構築するのは容易だ。霊力の核に,自分の体

全体に霊力の強力な層があるイメージを投影するだけでいい。


 その後,何度かの足蹴りや正拳突きなどを放った。しかし,どれも,夏江の腕と脚に展開した霊力の層によって防御された。


 蛭部は,自分の攻撃がまったく効かないことに驚いた。


 蛭部「お前,空手技も習得しているのか?」

 夏江「あなた程度の痴戯の空手など,蚊に刺されるようなものよ。なんら脅威にはならないわ」

 

 この夏江の言葉に,蛭部のプライドは崩れた。


 蛭部「クソ!!」


 蛭部はヤケクソになった。理性を失ってしまった。彼は,女性徒を脅すために常時持っていた2本の折込ナイフを出した。そして,それを,両手で持って,一番目障りな爆乳のおっぱい目がけて,十文字になるように,両手で斜め45度の角度で斬りつけた。


 シュパーー!シュパーー!


 夏江の服とブラジャーが裂かれてしまい,かつ,爆乳もざっくりと切り裂かれてしまった。乳房が切られてしまったといっても,血は出なかった。すぐに霊力の層によって防止された。


 夏江を斬りつけた後,蛭部は,ふと,理性を取り戻した。


 蛭部「え? 俺は何をしたのだ?!!」

 

 この言葉に,夏江は冷静に返事した。


 夏江「おっぱいを斬ったところで,命に別状はないわ。それよりも,これを持ってちょうだい」


 夏江は,胸の谷間に挟んだ金属製の銀板を掴んで蛭部に投げた。彼は,無意識にそれを手で受けた。


 蛭部「この銀色の板がどうかしたのか? なになに,淫行の『淫』という字が書いてあるぞ?」


 そう言ったとたん,彼は,自分のあの部分が急にビンビンになって,強烈な性的快楽が押し寄せた。


 蛭部「なに?これはなんだ?!」


 彼は,その言葉を吐いたのと同時に,果ててしまい,あまりの気持ちよさに,その場で意識を失って倒れた。


 夏江「ほんとうに9品の催淫呪符は効果抜群ね。確か,3回ほど使えるとか言っていたから,あと1回残っているわね」


 夏江は,催淫呪符のことよりも,切られた乳房のことを気にして,すぐに回復魔法を展開した。


 すでに4人から膨大な精気を奪ったので,回復魔法を発動させるパワーはふんだんにある。夏江の胸は,みるみると回復していって,20分後には,片方で11kg,両方で22kgにもなる胸になってしまった。乳首の大きさには変化はなかった。


 夏江は,蛭部のズボンとパンツを脱がせて下半身を丸出しにさせた。そしてあの部分に自分の母乳を大量に浴びせた。


 ・・・

 蛭部の顔は,20年以上も歳を取ったような顔付きに変化してしまった。髪のところどころに白髪が交じった。


 夏江は,5分間の接触が限界だと感じた。これ以上,接触してしまうと,老人にまでなってしまう。幸いにも,人間の年齢を正確に測定する技術がないので,夏江が年齢を搾取したという悪行が暴露されることはない。しかし,老人にまで加齢化させてしまうと話は別だ。一目でバレてしまう。


 今の夏江は,まさに人間の精気を吸う妖怪だ。精気を吸ったあとの,なんともいえない気持ちよさ!!

 

 最初の頃は,わからなかったが,精気を何度も吸うようになると,そのなんとも言えない気持ちよさが理解できるようになった。


 それに,精気を吸う度に,夏江の霊能力としての能力が強化されることも知った。霊能力のレベルは際限がないに等しい。いくらでもレベル上げが可能だ。


 夏江の理想としている霊能力のレベルとは,迷える霊魂を除霊する能力を得ることだ。


 今の夏江ができる能力は,人体と物体からのオーラの目視,霊体離脱,サイコメトリー,念写,特定の霊魂との念話程度だ。まだまだ先は長い。


 夏江は,これからも若者から精気を吸収する必要があるとニコッと微笑んだ。



 ーーー

 服とブラジャーが切られたので,服の素材を利用して,胸の周囲にサラシのいように巻いて,なんとかおかしくない恰好にした。


 夏江は保健室に戻った。そこには予備の白衣が数着ある。夏江は白衣を着て帰った。


 自宅に戻ってから,匿名で119番に電話して,体育館裏の男子トイレに気絶した男性のいることを伝えた。そうでもしないと,冬のシーズンなので,凍死してしまう可能性があるからだ。


 ーーー

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