第17話 放課後前のホームルーム
放課後前のホームルームで,夏江は,なにげなくクラス全体の生徒の顔を見渡した。男子生徒のほぼ全員が,夏江の胸に視線が集中しているのがわかった。女性徒たちは,あからさまにイヤな顔をするものや,彼女の胸に嫉妬するものなど,その反応はさまざまだった。
そんな中で,ひとりだけ顔を下に向けて,なにか涙を隠している女性徒がいた。夏江は,名前が記載されてある座席表を見ると,林サミコとあった。
夏江はオーラを見るまでもなく,なにやら問題を抱えている少女だと思った。夏江は教師らしく『元気を出しなさい』と声をかけるべく,林ミサコのところに行って,ポンと彼女の肩を触った。
ボァーー-!!(実際の声ではなく,夏江の頭の中で響いた声)
すると,瞬時に夏江の脳裏にとんでもないイメージが飛び込んで来た。それは,林サミコがワル連中に上半身裸にされて,おっぱいを弄ばれるシーンだ。
夏江は,慌てて肩に触っている手を引き離した。サイコメトリー能力を発動するために,彼女の肩に触ったわけではない。でも,彼女の思いがあまりに強力だったため,夏江の脳裏に飛び込んできた。
夏江は,冷静を装って,林サミコに言った。
夏江「林サミコさんですね? 下を向いていないで元気を出しなさい。ホームルームが終わったら,保健室に来てちょうだい。元気になるおまじないを教えてあげるわ。もっとも効果は保証しないけど」
林サミコ「・・・,はい,わかりました」
ー 保健室 ー
林サミコは保健室に来て,夏江と真向かいで座った。夏江は林サミコの手をやさしく触り,かつ,夏江の別の手の平を自分の携帯の上に置いた。
夏江「何も言わなくていいわ。でも,ちょっと辛いかもしれないけど,つらい経験を頭の中でイメージしてちょうだい」
この言葉に林サミコは,夏江先生が自分がワル連中に虐められているのを知った。きっと誰かが目撃していて,こっそりと夏江先生に訴えたのかもしれないと思った。
林サミコは,裸にされて,おっぱいを弄ばれたシーンを思い出した。いくら時間が経っていても,鮮明にそのシーンを思い出すことができる。
その作業は30分ほど続いた。
今,夏江が行っているのは,夏江が始めて行うものだ。携帯の録画ソフトに林サミコのイメージを念写させるというものだ。夏江は簡単なイメージなら,念写できることを知った。ならば,相手のイメージも念写できるのではないかと思った。
林サミコの念のイメージは強力なので,高い確率で成功するだろうと期待した。案の定,携帯の録画ソフトには,鮮明な映像が記録された。
夏江はイメージ動画を念写できたことにほそくえんだ。彼女は霊能力者としてのレベルがもう一段高みに登ったことを確信した。
夏江がニヤニヤしているしている一方で,林サミコは部屋にある柱時計を気にしていた。午後4時から,また体育館裏の男子トイレに行かなければならない。彼女を犯したいワルから,呼び出しがかかったからだ。
ときどきワルから呼び出しがかかる。それは,警察や教師に彼女を虐めていることを訴えるな,という脅迫の確認だ。呼び出しがかかるたびに,彼らの彼女への虐めの度合いはエスカレートしてきた。最初は,彼女の胸の写真を撮るだけだった。2回目は胸を触った。3回目は,指をあの部分の中に入れてきた。
ワルたちは,林サミコが気の弱い性格だと知っている。最初のときに,犯すという最終行為をしてしまうと,彼女は人生を諦めて,自殺したり,警察に訴えるという最終手段を取られる可能性がある。
ワルたちは彼らなりに,林ミサコの限界レベルを探りながら,徐々に虐待行動のレベルの上げていくというずる賢い方法をとった。これまでのところ,林ミサコは誰にも訴えるようなことはしなかった。それに,何度もワル連中と顔を合わせているし,いずれ犯されるという心の準備ができた頃合いだとワル連中は判断した。
そこで,今回,林ミサコを犯す決心をして,今回,呼び出しを行った。
林サミコ「あの,,,わたし,もう行かないと,,,」
夏江は,林サミコがどこに行くつもりなのかを知っている。
夏江「じゃあ,一緒に行きましょう。体育館裏の男子トイレでしょう? そこで犯されるのでしょう?」
林サミコ「・・・」
林サミコは,なんでそんなことを知っているのかと思った。
夏江「安心してちょうだい。もう,あなたは,男子生徒に犯されることはないわ。映された映像データも公開されることはないから安心して」
林サミコ「え? うっ,うっ,わぁーーーーん!!」
この言葉を聞いて,林サミコは,その場で泣き崩れてしまった。彼女は,一言も言葉も発してしない。それでも夏江先生はすべてを理解してくれた。
林ミサコは,まだ自分は見捨てられていないと知った。感極まって,さらに大きな声で泣いてしまった。
ひとしきり涙を流した後,すっきりしかのようにちょっと笑顔になって,自分のことを話し始めた。でも,まだ涙声だった。
林サミコ「わたし,,,1ヶ月ほど前から,ワルたちにイチャモンつけられて虐められてきました。最初は,服の上からおっぱいを触る程度だったのですが,その後,呼び出しを受けるたびにエスカレートしてして,先週は,といとう指をあの中に入れられてしまいました。今日は,間違いなく,,,,」
夏江は,彼女がなんと気の弱い性格なのかと思った。
夏江「どうして,教師やご両親に相談しなかったの?」
林サミコ「わたしの裸の写真が撮られてしまって,両親や先生,警察に訴えたら,その動画を学校中にばら撒くと言われてしまいました」
溜まりに溜まった林サミコのつらい思いが,今,この場で吐き出された。
彼女の携帯が頻繁に振動しはじめた。誰かが頻繁にメール連絡している証拠だ。だが,この状態で携帯を見る余裕はなかった。夏江は,しばらく落ち着くまで林ミサコを泣かせるにまかせた。
ひとしきり泣いた後,林サミコは振動を続けている携帯を見た。そこには,『さっさと男子トイレに来い!あと10分も遅れると,お前の裸の写真をばらまくぞ!』とあった。
そのメールは,夏江にも見えた。
夏江「林さん,一緒に男子トイレに行きましょう」
林サミコは,なぜ夏江がそんなことを言うのか,すぐに理解できなかった。もしかしたら,ワルたちと話をつけてもらえる??
林サミコは,いくら教師でもそんな簡単に解決できないと知っている。じゃあ,どうして一緒に行くなどと,,,
そんな疑問を持ちつつも,林サミコは夏江先生を連れて体育館裏の男子トイレに移動した。
ー 体育館裏の男子トイレ ー
この男子トイレは,真面目な男子生徒はほとんど使用しない。ワルのたまり場になっているからだ。もし他の男子生徒が近づこうとすると,見張りのワルが彼らを阻止する。
ワルのリーダーは,2年D組の蛭部だ。他に2年生の2名と1年生2名の合計5名からなるワルグループだ。
1年D組のワルである御劔がいち早く林ミサコと夏江先生がやって来るのに気づいてボスの蛭部に報告した。
御劔「蛭部さん,ミサコと,今度新しくうちのクラスの担当になった臨時保健士の夏江先生が来ます。どうやら,ミサコはわれわれを先生に売ったようです」
蛭部は,首の向きを変えて,夏江と林ミサコがやって来る方向を眺めた。少し遠目でも,夏江が爆乳の持ち主なのがすぐにわかった。彼は,夏江先生がひとりで来たことから,他の先生に連絡していないものと推定した。ならば,まだ,なんとかなる可能性がある。あの爆乳先生との駆け引きが勝負だ。
夏江はここに来る間,林ミサコから彼女を虐めているのが5名のワルグループであり,リーダーが蛭部という名前であること,さらに他の連中の名前と所属を聞き取って,携帯のメモソフトに入力した。そして,その情報と念写で録画したデータを合わせて,かつての上司である警視庁特捜課の多留真に送信した。その際,一言,付け加えた。
「ワルどもを1週間以内に逮捕できれば,いいことしてあげます」
夏江は,果たして念写の証拠程度で,かつ,虐め程度のことで,逮捕状まで取れるのか不明だった。でも,多留真のお手並みを拝見することにした。仮に念写の証拠で逮捕が無理なら,林サミコを説得して,被害届けを警察に出してもらうだけだのことだ。
林ミサコと夏江が体育館裏の男子トイレに来た。先に声をかえたのは夏江だ。
夏江「リーダーの蛭部君と話がしたいのだけど,彼はいるのかしら?」
話し合いなら,蛭部にとっても願ってもないことだ。
蛭部「わたしが蛭部です。あなたは,臨時保健士の夏江先生ですね?」
夏江「ええ,そうよ。今日,赴任したばかりなの」
蛭部「ふーん」
蛭部は,夏江の爆乳に目が移った。こんな大きなおっぱいをしている女性は,AV女優でも,そうそう簡単にお目にかかれるものではない。
蛭部「夏江先生,あなたは,教師なんかではなく,爆乳を全面に出したAV女優にでもなったらいいのではないですか? なんなら,相手役の男優は,われわれが引き受けますよ」
この蛭部の提案は,夏江にとって即座に否定するものではなかった。獣魔族のAV監督からは,多くの男子生徒に犯されなさいとまで指摘されていた。
夏江「そうね。それも悪くはないわね。でも,わたしから条件があります。今後,林さんに手を出さないと約束しなさい。それと林さんの写っている映像データをすべて消去しなさい。それが条件です」
この夏江の条件は,逆に蛭部たちをびっくりさせた。つまり,林サミコから手を引くかわりに,夏江先生を犯せるということだ。
蛭部たちは,一瞬戸惑った。だが,ワルたちの結論は早かった。林ミサコの性格が不安定な状況では,いつなんどき警察に訴えられるかもしれない。それなら,ここで手を引いて,リスクのない夏江先生を犯すほうがいいというものだ。
蛭部「わかった。その提案にのろう。では,夏江先生,こちらに来てくれるかな?」
夏江「その前に,これまで撮影した画像や録画データをすべて消去しなさい」
蛭部「それはかまわないが,それは,われわれが夏江先生を抱いてからのことだ」
夏江は,蛭部の提案に同意することにした。
夏江「いいでしょう」
夏江は,林ミサコに向かっていった。
夏江「もう家に帰りなさい。あっ,そうそう,このお守りを首にぶら下げなさい。今日は,じっとしているのですよ」
林ミサコはそのお守りを受けとった。そんなことよりも,夏江先生が自分の身代わりになって犯されてしまうと思って,やっと,涙が止まったのに,再び,流れ出してしまった。でも,今の林ミサコは何もできない。ただ,夏江先生の指示通り,自宅に帰ることにした。
林ミサコ「はい,夏江先生,ありがとうございます」
夏江「お礼なんかいいのよ。何も気にせずに帰りなさい」
林ミサコがこの場を去ったのを確認して,夏江は男子トイレに移動した。
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