第16話 金城ミルカと林サミコ

 1年D組のある女性徒,名を金城ミルカといういうが,彼女はまた一通のメールを受けとった。


 『今日の献身点を稼ぐのは林サミコだ。よろしく』


 それだけの内容だった。それは理事長からの連絡だ。金城ミルカは,このままの状況ではダメだと思っている。でも,今の状況を変えることはどうしてもできなかった。



 金城ミルカは,3週間前の出来事を思い出していた。


 2ヵ月前のテストで,金城ミルカは全教科で赤点を取ってしまった。クラブ活動の練習に熱が入ってしまい,ここのところ,ほとんど勉強できていなかった。それが災いした。


 赤点を取ると,即,退学だ。義務教育ではないし,それに高校としても,進学校を目指す方針だ。出来の悪い生徒にはさっさと退学になってもらうほうが進学率のアップに繋がり,より優秀な新入生を確保しやすくなる。


 だが,金城ミルカは,女性徒にだけ赤点を取ってもそれを救済する措置のあることを知った。それは,献身点を獲得して赤点を補填するというものだ。


 献身点は理事長が持つ点数だ。献身の度合いによって,献身点が与えられて,赤点を相殺し,退学を回避することが可能となる。献身点を確保するには,理事長室の掃除,書類整理と言ったことを行えばいい。


 金城ミルカは,理事長の住むホテルの部屋に来た。献身点を獲得するためだ。


 理事長から献身点の説明を一通り受けて,金城ミルカは愕然とした。


 金城ミルカ「わたし,赤点の合計が150点ほどあります。それを補うのに,部屋の掃除3点,書類整理1点では,いったいいつになったら赤点を解消できるのですか?確か,赤点を取ってから2ヵ月以内に補填しないと退学になるって聞いたのですけど」

 理事長「その理解は間違いない。このままでは確実に退学になる」

 金城ミルカ「そこをなんとかならないのでしょうか?」

 理事長「・・・,そうだな,,,無くはないが,,,,」


 この時の理事長は,金城ミルカの体を舐めるようにして返事した。このことで,ミルカは,その意味を的確に理解した。


 金城ミルカ「もしかして,この体を,,,」

 理事長「まあ,そういうことだ。だが,わたしに身を委ねても,献身点は20点だ。処女の場合だったら30点にしてあげよう。もっとも,これまでの例では,処女だと,どうしても股を開く勇気がないらしく,おっぱいを触るのがせいぜいだった。それでも,献身点を5点ほど与えた」

 金城ミルカ「・・・」


 この理事長の話は,金城ミルカにいいヒントを与えた。つまり,処女の女性徒は理事長に犯されることを拒否してきたという事実だ。


 金城ミルカには特殊な知人がいる。彼は催眠術が得意だ。彼の技能が役立つかもしれないと思った。自分の処女を守るためなら,他人の処女などどうでもいい。


 金城ミルカは,自分の処女をどうしても守りたかった。与えるべき人を見つけたからだ。権力を笠にしたクソ理事長なんかに与えるほど安っぽくはない!


 それと,高校をどうしても辞めたくない理由があった。彼女はバトミントン部員だ。その腕前はすでに世界レベルに達している。もうすぐ開催される全国高校選抜大会で優勝して,オリンピック候補に選ばれて,それを勝ち抜いて来年開催されるオリンピックの選手になること!それが彼女の,もう少しで手が届く夢だ。しかし,それは高校中退によって,実現不能な夢になってしまう。


 金城ミルカ「わたしの知人で,催眠術が得意な人がいます。今後,献身点を受ける処女の女生徒に,その知人に依頼して催眠術をかけてもらいます。理事長のいいなりになるような強力な催眠術です。信じてください。だから,わたしは見逃してください。催眠術を掛けることで,献身点を与えてください」

 理事長「ふん。そんな便利な催眠術などあるわけないだろう。仮にあっても,効果は不確定だ。自分に不利な催眠術は効果がほとんどないらしいからな」


 金城ミルカは,ここで引き下がることはできない。


 金城ミルカ「ともかくものは試しです。もし,ウソだったら,その時は,わたしは,,,自分の処女を差し出すます。さらに1ヶ月でも2ヵ月でも理事長の性奴隷になります!」


 金城ミルカがそこまで言うなら,その知人の催眠術の効能を試してみることにした。

 

 理事長「わかった。最近は,処女が少ないから,とりあえず処女でない女性徒にも試してもらおう。それなりに効果があれば,献身点10点だ。もっとも,効果がない場合,即刻,ミルカ君の処女をもらう。かつ,性奴隷になってもらう」

 金城ミルカ「・・・,たった10点ですか?」


 金城ミルカは,そんな低い献身点では,2ヵ月という期限がすぐ来てしまうと思った。 


 彼女の思いを察してか,理事長は赤点をすべて相殺する方法を提案した。


 理事長「ではこうしよう。処女で,美人で,かつ,優秀な女性徒に,赤点を取らせることができれば,かつ,彼女の催眠術をかけて,わたしの性奴隷でできるなら,赤点をすべて相殺させてもらう」

 金城ミルカ「え? ほんとうですか?」

 理事長「ほんとうだ」

 金城ミルカ「はい! では,すぐにターゲットを見つけます!!」


 そこで,ターゲットに上がったのが,この1年D組で,成績上位にして,美人であり,かつ,処女と思われる女性徒,林サミコだ。


 前月のテストの数日前に,金城ミルカは,林サミコに勉強を教えてもらう約束で,喫茶店で勉強することにした。そこに,あとから,たまたまを装って,例の知人が現れて,無駄話をしながら,頭のよくなる催眠術があるという触れ込みで,知人が林サミコに特殊な催眠術をかけてもらった。案の定,林サミコは,惨憺たる赤点を取ってしまった。


 金城ミルカは,赤点をとっても,献身点のあることをこっそりと林サミコに教えた。かつ,それとなく,理事長から体を求められるかもしれないという感じのことも伝えた。事前に,心の準備をしてもらうためだ。


 そして,今,理事長から,林サミコに声がかかったというわけだ。


 金城ミルカは,理事長からのメールを林サミコに転送して,さらに,追加で以下の内容を加えた。


 「午後7時に,わたしの部屋に来てちょうだい。うまく理事長と交流する方法をを教えてあげます」


 そのメールを受けとった林サミコはそれを見た。だが,今の林ミサコにとっては,理事長のことなどどうでもよかった。それよりも,放課後すぐに行かなければならないところがある。そのことで頭がいっぱいだ。でも,メールの返事はすることにした。一言『了解』とだけ。


 金城ミルカは,林サミコが処女だと思った。だって,男友達がいる様子もなく,内気で,気が弱く,勉強ばかりしているような子だ。処女に決まっている。


 これで,金城ミルカは,晴れて,退学を回避できると嬉しくなった。


 林ミサコは女性徒の中でも,ひときわ胸の大きい生徒だ。Eカップほどもある。性的魅力は十分にある少女だ。学力のほうでも学年でトップクラスだ。しかし,成績順でクラス分けが決まるこの学校で,Aグラスではなく,Dクラスのままなのは,勉強以外の面で全てマイナス評価だからだ。部活をしていない,寄付金がない,性格が暗い,スポーツが出来ない,学校行事に非協力的などなど,ことごとくマイナス評価だった。


 林サミコは,胸が大きいだけでなく美人でもあった。一目見て気の弱そうな美人だ。でも,メガネと髪型が顔を隠していて,はっきりとその素顔を見たものは一部の生徒を除いてほとんどいない。でも,金城ミルカは林サミコが美人だと以前から気がついていた。


 林サミコは,金城ミルカのメールを見て涙を流した。しかし,実は,その涙は,理事長のこととは関係がない。放課後に対応しなければならないことについてだった。


 そして,放課後前のホームルームの時間を迎えた。今朝,始めて顔を出した夏江が再び現れた。


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