第14話 ボディーガード・ラン
翌朝,理事長は私立高校に来た。自分の高校に毎日通う必要もない。ここに来たのは,頭の整理をするためと,初登校する夏江に会うためだ。
理事長の顔には,冷や汗が出ていた。彼の横には,黒服でサングラスをかけている女性のボディガードのランがいた。
今朝,理事長がホテルから出て車に乗るその数メートルの間に,1人の男がナイフを持って理事長に斬りかかって来た。幸いにも,ランがいち早くそれに気づいて,彼の行動を止めたという事件があった。
ランは,虚道宗出身で呪符が使える。彼女はとっさに5品の威圧呪符で彼の行動を止めたので未遂に終わった。斬りかかった彼は,行動を制止されたことで,すぐに自分の行動を反省したため,理事長は警察には連絡しなかった。
ランはその事件を思い出して,理事長に言った。
ラン「理事長,どうして警察に連絡しなかったのですか?」
理事長「俺も,痛い腹を探られたくないからな。詳しく聞かなかったが,彼は,俺が手籠めにかけた少女の父親のひとりだろう」
ラン「・・・」
つまり,警察に連絡すると,理事長の悪事もバレるという非常にきわどい状況にある。ランは,なぜ自分が理事長のボディガードに採用されたかがわかった。採用の条件が,『相手を傷つけずに攻撃不能にできること』という,難易度の大変高い条件がついていた。ボディガードを専門に斡旋する派遣会社も,探しに探しまわって,やっと虚道宗出身で,高弟だったランを推薦したという経緯がある。
理事長にとっては,今朝のような出来事はたまに起こることなので,あまり意にかえさなかった。以前のボディガードでは,相手を殴り返してしまい,警察沙汰になってしまった。警察への賄賂など,余計なお金がかかった。やっと,最近になって,ランを新しく採用でき,今朝の事件で,ランは『使える』と理事長は判断した。
ランは,虚道宗では第1師範の高弟だった。当然,その腕前は虚道宗の他の師範レベルと同等かそれ以上だ。月給200万円という高給だが,警察沙汰にならなければ,多額の賄賂を使うこともないので,理事長にとっては経費節約になっている。
理事長は,今朝の事件のことなど,もう頭の中にはない。それよりも,昨晩の夏江とのエッチのことだ。彼の頭の中では,鮮明に夏江を犯しに犯したという記憶がある。でも,それとは別に,夏江の胸の谷間から金属プレートが落ちて,それに触って,すぐに絶頂を感じて果ててしまったという記憶もある。
これら2つの記憶は,なぜか矛盾しているような気がしてならなかった。それに,いつもなら朝起きるとすぐに反応するのに,それがまったくない。しかも,隠し取り用のビデオを確認すると,どのカメラも電源がオフになっていた。というよりも,何か斧のような物でスイッチ部分が殴られたようになっていた。
理事長は,いったい何がなんだか,まったくわからなかった。そんな頭をかかえている理事長をみて,ランは声をかけた。
ラン「理事長,今朝の事件って,そんなに頭を悩ますような事件なのですか?」
理事長は,ランに事の経緯をすべて話すことにした。ランは職務上の守秘義務を負っているので,ランにどんなことを話しても,なんらリスクにはならない。
理事長「いや,今朝の事件のことなどどうでもいい。それよりも,昨晩のことだ」
ラン「昨晩? わたし,昨日は非番で家でゴロゴロしていましたが?」
理事長は,ランは,頭の空っぽな女性だと思った。
理事長「あほ!お前の事じゃない!!」
アホと言われて,ランはカチンときた。
ラン「理事長,まだ,ここに努めて2週間にもなりませんが,今ここでボディガードの仕事を辞めさせていただきます!」
ランにとっては,仕事などいくらでもある。給料がいいので,ここで働き始めたのだが,『あほ!』と言われてまで働くつもりはい。
ランは,さっさとドアを開けて出ていこうとした。これには理事長が慌てた。やっと有能なボディガードが見つかったのだ。こんなしょうもないことで辞められては困る。
理事長「ラン! 待て! 謝る!! ラン! ゴメン! 俺が悪かった! 今朝の対応は非常によかったので,今,特別ボーナスを10万円支払う!」
この言葉に,ランは足を止めた。
ラン「特別ボーナス20万円なら,考え直しましょう」
理事長「わかった,わかった。それでいい。機嫌を直してくれ!」
ラン「では,さきほどのアホという言葉は,聞かなかったことにします」
理事長はなんとかランの引き留めに成功した。機嫌を直したランに,理事長は自分が昨晩経験した内容を詳細にランに説明していった。ランは,その話を聞き終わると,電話を一本した。電話の相手は,虚道宗の特弟子だ。
ランは,特弟子から夏江の情報を聞いた。すると,ランの顔はみるみると笑顔になっていった。
ラン「特弟子,情報,いろいろとありがとう。今度,謝礼がわりに高額で基礎呪符を買ってあげるわね」
ランはそう言って,電話を切った。
理事長「ラン? わたしの話で,何かわかったのか?」
ランは,ニヤッとした。
ラン「ボディガードの仕事は,理事長の身の安全を守ることです。情報提供ではありません」
理事長は,それが何を意味するかわかった。
理事長「わかった。情報の質にもよる。有益な情報なら20万円!そうでなければ5万円だ」
ランは,けちくさいと思ったが,すでに特別ボーナスを入手したので,その額で妥協した。
ラン「わたしが確実に言えることは,理事長は,夏江とエッチはしていないということです」
理事長「なっ,,,何?!」
これには,理事長はびっくりした。
理事長「だって,はっきりと夏江を犯した記憶があるぞ!」
ラン「その記憶のことなど,わたし知りません。でも,理事長が9品の催淫呪符に触った時点で,絶対に夏江とエッチすることは不可能なのです」
理事長「9品の催淫呪符?」
ランは,夏江が如何にして9品の催淫呪符を入手したか,また,その効果は,どれほどの強力なものなのかを説明した。
ラン「つまり,夏江は虚道宗に訪れた際に入手した9品の催淫呪符を胸の谷間に差し込んで,理事長に触らせたのです。その後,理事長はすぐに果てたのです。つまり,その後,朝まで意識を失ったとみていいでしょう。夏江とエッチなどできるはすがありません」
理事長「で,でも,夏江とエッチした記憶があるぞ」
ラン「そのことは知りません」
理事長「・・・」
理事長は,机に置いてある3台のビデオカメラを見た。スイッチ部分が斧で叩かれたようにして,電源が切られていた。理事長は,この現象についてもランに聞いてみた。だが,ランは,何もわからないとしか返事のしようがなかった。
理事長は,最後に,一番大事なことをランに聞いた。
理事長「いつも,朝は,元気いっぱいで反応するのだが,今朝はまったくしなかった。いや,それどころか,まったく反応しない。これって,何が原因かわかるか?」
ラン「それって,健康管理の問題ですよね。わかるにしても,わからないにしても,タダでコメントできません」
ランはそう言って,内ポケットから呪符を取り出して,理事長に見せた。
ラン「この呪符を使えば,理事長がほんとうにあの部分が反応するのかどうかがわかります。でも,この呪符,20万円もするんですよね,,,」
ランは意味深長ぎみに言った。
理事長は,もうヤケクソでその金額を支払うことに同意した。その呪符は,5品の催淫呪符で10万円で購入したものだ。つまり,10万円のもうけになる。
ランは,5品の催淫呪符を使って,それを理事長の股間部に貼り付けた。
ラン「理事長,今から,自慰してください。あの部分が元気になるかどうか,確認してください」
理事長「自慰? でも,,,俺,エロビデオでは興奮しない。生身の体でないと,,,」
この場で女性はランしかいなかった。
ラン「わたし,まだ処女です。わたしを抱きたいなら,マンションを買ってください」
ランは別に身持ちが堅いわけではないが,理事長という金持ちのボンボンからいくらでもお金を搾取してやれという思いだ。
この提案に,理事長はさすがに同意はできなかった。鍛え抜かれた体のためか,ランの胸はAAカップがあるかどうかだ。
理事長「別にランとエッチしたいわけではない。わたしの自慰を手伝ってほしいだけだ」
ラン「手伝う?」
理事長「そうだ。申し訳ないが,上半身裸になってくれないか? おっぱいも触らせてほしい。追加料金は5万円だ。これでも破格な値段だぞ」
5万円が破格なのはなんとなく知っている。確かに5万円は破格だ。
ランは自慰などしたことがないし,男性に抱かれたいという欲求もない。胸がないというコンプレックスを感じたこともない。でも,こんな胸でも,5万円も出してくれるのなら,触らせてもいいと思った。いや,エッチさえもしてもいいと思ったくらいだ。
ラン「わかりました。どうぞ触ってください」
ランは,さほど恥じらいもなく,上着の黒スーツを脱いで,ブラウスをたくしあげた。
ランの胸は可愛いAAカップだ。いくら貧弱そうに見えても,そこから溢れ出る凜々とした若さの香りと,その誰にも犯されていない無垢な胸に接触している両手から伝わる初々しい恥じらいのある温もりに,理事長のあの部分を,瞬時に興奮状態に導いた。
理事長「え? あれ? あそこが反応するぞ。おっ,ほんとうに反応した」
その声を聞いて,ランはさっさと理事長の手を自分の胸から離した。
ラン「どうやら,その催淫呪符で回復できるようですね」
理事長「それはどういう意味だ?」
ラン「わたしの呪符は,理事長の不能態を回復できるとわかったということです。仮に,今度,不能状態が続くようなことがあっても,わたしの呪符を買ってくれればいいだけです。特別に,今後は,15万円で分けてあげましょう」
理事長「この呪符は,完全に治すのはないのか?」
ラン「呪符は一過性のものです。その効果は1時間続くかどうかです」
理事長「・・・」
理事長は,もしこのままの状態が続くことがあれば,そのたびに15万円も支払うのかと愕然となった。
理事長「なんとか,もっと安上がりな方法はないのか?」
そんな方法など,ランが知るはずもない。でも,ランは,服をきちんと着直して言った。
ラン「情報提供料をください」
理事長「・・・」
結局,理事長はさらに20万円も支払うことに同意した。
ランは,電話で特弟子に電話して,その辺の情報を求めた。すると,呪符代わりになる安易な方法があることを知って,それを理事長に伝えた。
理事長は,その情報を聞いて,ニヤッとほほんだ。20万円支払った価値のある情報だった。
理事長はランが情報提供源としても有益であることを知った。
理事長は,今の状態を無料で臨時的に解消する方法を知って嬉しかった。これからも,15歳とか16歳の女性徒を言いなりにして,毎日のように抱けるのだから,,,
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