第5話 霊核の目覚めと鞭打ちの刑

 夏江は,東都に向かう新幹線の中で,エミコの父親のことを思い返していた。父親は,白髪に変化してしまった。その現象は,寿命を何十年も一瞬にして失ったことによる現象だ。


 夏江は,男から寿命を奪うことができるようになったと理解した。でも,どうしてそんなことができるようになったのか?


 いくら考えてもその答えは夏江にはわからなかった。でも,霊力が関係しているのはわかった。


 もし,霊力に精通している女性がいたなら,夏江に以下のような説明したことだろう。

 

 ===

 霊力には,粘液・精力,さらに長時間接触すれば,寿命エネルギーさえも吸収する能力がある。夏江の体には霊力が隅々にまで巡っている。夏江の胸を犯した父親が一気に年を取ったのは別に不思議なことではない。


 夏江はこれまで霊力を使っていないため,精子を体内に受けることで霊力が子宮の中にどんどんと蓄えられた。そのため,妊娠していないのに,今では,妊娠3ヶ月ほどのお腹になった。その霊力は溜まる一方なので,無理やり消費する必要がある。


 夏江の場合,霊力の消費はすべて母乳の生成という形で行われる。霊力によって生成された母乳は,男性の造精機能を発達させて精力絶倫にさせる。自分の寿命さえも削って粘液や精気を放出させてしまう。


 つまり,霊力が母乳の生成を促進させ,乳房の乳腺組織や脂肪組織をも発達させる。それによって,胸がさらに大きくなるという現象が生じる。回復魔法を発動させるのと同じような現象が生じてしまう。


 これは,子宮に溜まった霊力を使用しないことによる副作用の顕れだ。

 ====


 でも,夏江はこの理由を知る機会などなかった。


 エミコの家を出ていったこの日,夏江は,胸が張るという激しい痛みを覚えつつ,さらに一回り大きくなったことを悟った。片方で7kg,両方で14kgにもなる爆乳だ。乳首もその重さに比例するかのように,直径も長さも14cmほどのさらなる化け物乳首に変化した。もう,夏江のそれは,乳首と呼ぶような代物ではなくなったようだ。


 ーーー


 東都に着いてから,夏江は,電話でエミコの叔父へ電話連絡した。ブーブーブーと,電話は鳴るものの,相手は電話に出なかった。そこで,翌日,ダメ元でその叔父のアパートに行くことにして,その日は,自分のアパートに戻った。


 夏江は,まだ霊力が使えないので,簡単な霊力でもいいので,使えるようにしたかった。


 夏江にとって,霊力使いのイメージは,目に見えない刃で相手の首を跳ね飛ばすというものだ。そこで,自分の背中から透明な触手を繰り出し,その先端を刃状にするというイメージトレーニングをすることにした。

 

 1,2時間かけても霊力を操ることができなかった。何かが足りないと思った。夏江は自問自答して,そもそも霊力というものを感じることができていないと悟った。夏江は霊力が子宮に溜まっていることを知っている。そこで,子宮に意識を集中して,子宮に溜まっている霊力を感知することから始めた。


 すると,夏江の頭の中に,念話のような声が聞こえた。


 『わたしに命令してください』


 夏江は,一瞬,幻聴かと思った。でも,はっきりと聞こえた。それは,霊魂になった美澪が発する念話に似ていた。でも,美澪の念話とも違った。


 夏江は,頭の中で叫んだ。


 夏江『あたは誰?』

 

 すると,また頭の中で念話が聞こえた。


 『『メリルの指輪』の残留思念です。この思念体も24時間後には完全消滅します。でも,精子と寿命エネルギーを定期的に受けることで延命できます。消えたくない,,,消えたくない,,,』


 『メリルの指輪』は消滅したものの,その思念体は生き残っていたことを知った。

 

 夏江『わかったわ。あなたのことは思念体と呼べばいいの?』

 

 その思念体は,自分のことを『霊核』と呼んでほしかった。

 

 霊核『わたしのことは『霊核』とお呼びください』

 夏江『霊核さん,わかったわ。わたしもあなたに消えてほしくないから,24時間以内に粘液と寿命エネルギーを提供できるようにするわ。要は,男とエッチすればいいのでしょう?』

 霊核『エッチしなくても,肌と肌を5分間接触するだけでいいです。5分間で20年分の寿命エネルギーを奪うことができます。それと粘液の供給もお忘れ無く。母乳を飲ませば,精巣が活発化します。母乳もうまく活用してください』

 夏江『わかったわ。それで,霊核さん,霊力を使おうと思ったら,あなたに命じればいいの?』

 霊力『はい,簡単な命令を念じるだけでいいです。あとは状況に応じて,対処します』

 夏江『わかったわ。では,ちょっと,試してみるわね。透明の触手を伸ばしてください』

 霊力『単に『伸ばして』というだけでいいです』

 夏江『そう?簡単なのね。じゃあ,伸ばしてちょうだい』


 ヒューーン!


 すると,夏江の背中から霊力による透明の触手が伸び出した。なんと,その先端は刃状だった。


 夏江『・・・』


 夏江は霊力は使えるようになったものの,完全に制御できないのではないかと思った。


 でも,とにもかくにも,夏江はこれでなんの苦労もせず,霊力を扱えることを悟った。夏江は,バカチョン式で,晴れて「霊力使い」になった。



 ー 叔父のアパート ー


  翌日,夏江は叔父のアパートを訪問した。その家の表札には,『田中ミサル』とあった。叔父の名前だ。どうやらまだ引っ越しはしていないようだ。


 夏江は,ドアの呼び出しベルを鳴らした。


 ピンポン!ピンポン!


 しばらくすると,ドアが開いた。男が顔を出した。彼は,夏江の体をマジマジとみた。


 男「お前,,,」


 その男は,かなり驚いた様子だったが,すぐに平静さを取り戻した。彼は,ドアを全開にして,夏江を部屋の中に入るように促した。


 夏江は,さほど気にとめることもなく,部屋の中に入った。


 彼は,その間,携帯のグループラインで,あるメッセージを送った。その内容は『若をたぶらかした巨乳と思われる女性が来ました!応援求む!』というような内容だった。


 部屋の中に入った夏江は,自己紹介と要件を伝えるべきだと思って,その男に声をかけた。


 夏江「あの,,,あなたはミサルさんですね? わたし,あなたのお兄さんから紹介を受けてここに来ました。夏江と言います」


 そんな言葉を,ぜんぜん聞く様子もなく,その男は,夏江にソファーに座るように言った。彼は,急ぎ,コーヒーを準備したり,和菓子などを準備して,夏江に差し出した。男は,夏江に対して丁寧な対応をした。


 これは,彼の処世術だ。高校時代はワルで少年院送りになってしまった。そこで,弁護士の先生に,どんな状況であれ,丁寧に接するように心がけることから始めなさいと諭された。今は,こんなヤクザな稼業に身を落としているが,それでも,弁護士先生のいいつけだけは守ることにした。決して自分に不利益になることはないからだ。


 男「コーヒーとお菓子を準備しました。よかったら,どうぞ召し上がってください。それにしても見事な巨乳ですね。写真で見るよりもずっと大きい」


 夏江は,彼がいったい何を言っているかわからなかった。


 夏江「あの,何の話でしょう? あなたは,ミサルさんではないのですか?」


 やっと,男は自分のことを話した。


 男「わたしは,彼ではありません。ちょっと,この部屋を見張っているだけです」

 夏江「見張る?」

 

 携帯をいじって,1枚の写真を選び出してそれを夏江に示した。そこには,斜め後方から隠し撮りしたもので,男性と女性のカップルがラブホテルを背景にして写っていた。しかも,その女性はかなりの巨乳だった。


 男「この女性って,あなたでしょう? そのうち,わたしの仲間が来ますので,少々お待ちください」


 この部屋には,常時5人体勢で見張っている。でも,退屈なので,ひとりだけ残して,他の4人は近くの喫茶店でのんびりと喫茶店のお姉ちゃんと楽しい会話を楽しんでいた。


 夏江は,どこかに誤解があるのはわかった。でも,ここで否定しても信じてもらえないと思った。それなら,彼の仲間が来てから,ゆっくりと誤解を解くべきだ。でも,その場合,自分の身の危険性も増す。


 夏江は,最悪,覚えたての霊力を使って彼らを殺すだけだと思った。そんなことを考えていると,なぜ水香やモモカが安易に人を殺すのかよく理解できた。


 そうこうしているいうちに,4人の彼の仲間がやってきた。


 「おう?例の巨乳がわざわざ来たってか? フフフ。ミサルの部屋を見張っていて正解だったな」


 そう言ったのは,5人の見張り役の中で一番偉い『兄貴』だ。彼は,夏江の顔とおっぱいをマジマジと見ながら,つぶやいた。


 兄貴「写真では顔までは写っていなかったが,これはこれは上玉だな。若が一目惚れしてラブホテルに行くのもわかるというものだ。さて,若から奪った鞄はミサルに渡したのだろう?彼はどこに隠れているんだ?別に話さなくてもいいんだぜ。リンチを受けるだけだからな」


 兄貴は,仲間に凶器をチラつかせるように指示した。

 

 兄貴を除く4人の見張り役のうち,2名は,サイレンサー付きの拳銃を夏江に向けた。もう1人は,匕首を取り出して,それを夏江の首元に接触させた。


 夏江は,この状況になって初めて誤解の原因とミサルがどんなことをしでかしたのかおおよそ理解できた。


 夏江「わたし,写真に写っている女性ではりません。一緒に写っている男性に確認してください。すぐに誤解が解けます」

 兄貴「フフフ。その手には乗らんよ。女性って,化粧で簡単に顔を変えることができるしな。胸だって,パットを詰めれば,いくらでも巨乳になれるってもんだ。え?そうだろう? そもそも,このミサルのアパートに来ることで,お前は,ミサルの女だって,はっきりしているだんよ!」

 

 その言葉に合わせるかのように,夏江の首に当たっている匕首が,さらにグッと押し付けれて,微かに皮膚が切れて血が滲んできた。


 その行為は,夏江にいっさいの弁明を与える機会を与えなかった。


 兄貴「さて,その巨乳,どんだけパットをブラジャーに押し込んでいるんだ? その場で裸になれ!」

 

 その言葉に,匕首を持っている男は,匕首を後方に退かせた。夏江がモジモジとしたものの,ゆっくりとした動作ながらも服を脱ぎ始めた。


 兄貴は,夏江がまったく抵抗しないので,拳銃を向けている連中に,それらをしまわせた。夏江に反抗心がないとみて,わざわざ拳銃を見せつける必要もないとの判断だ。兄貴は,携帯で『若(わか)』にライン連絡した。若は麻薬の販売普及を担当している。


 『若を巨乳でたらしこんで,鞄を奪った女性を捕まえました。すぐにミサルの部屋に来てください』


 このメッセージを送った後,兄貴は,服を脱いで下着姿になった夏江の爆乳姿に目を見張った。


 兄貴「なに?お前,ほんとうに化け物のようなおっぱいと乳首しているんだな。ハハハ」


 兄貴は,こんな乳首は見たことがないので,思わず笑ってしまった。


 兄貴「その乳首は作り物か?それで若をたらし込んだのか?」


 夏江は,反論は無意味だと思って,何も話さなかった。気の弱い女性のように下を向いて,目に涙を浮かばせた。涙を出すことも,実は霊力によるものだ。夏江は涙がでるように霊核にお願いした。


 兄貴は,匕首を持った部下に命じた。


 兄貴「なんか,鞭かなんかで,その作り物の乳首をぶて!」

 部下「え?でも,鞭なんてありませんよ?」

 兄貴「そこに,皮のバンドが数本あるだろう?それを鞭代わりにすればいい」

 部下「ヘーイ」


 その部下は,数本のバンドの端を紐でくくって,持ちやすいようにして,即席の鞭を作った。彼は,親切にも夏江に助言した。


 部下「お嬢さん,正直にミサルの居場所と鞄のありかを話してくれたら,痛い目にあわなくていいんだよ。このまま黙っていると,鞭だけでなく,その身も犯されてしまうよ」

 夏江「・・・」


 夏江は,ただ,モジモジとして黙っていた。涙は絶え間なくポロポロと流れた。弱さを示すことで同情を買う作戦だ。


 兄貴は,拳銃を保持している2名の部下に,夏江を裸にしてから,卓袱台の上で寝かせて,両手両足を固定させるように指示した。


 夏江は,ブラジャーとパンティーを剥がされて,卓袱台の上に仰向けにして横にさせられ,両足首と両手首を卓袱台の脚に括り付けられた。


 夏江の片方で7kg,両方で14kgにもなる超爆乳が卓袱台の上で,たわむこともなく,張りのある状態を維持していた。直径や長さが14cmほどの化け物乳首は,しっかりと天井を向いていた。


 兄貴は,その化け物乳首を何度か触った。すると,母乳が少し溢れ出てきた。


 兄貴「ほほう,この作り物の乳首はよくできているな。それに,豊胸手術したような跡もない。よっぽど腕のいい医師にあたったのだな」


 兄貴は,今度は,涙を流している夏江の顔をさすって,彼女に言った。


 兄貴「今なら,まだ間に合うよ。ミサルの居場所と鞄のありかを話してくれたら,そうだな,,,われわれに犯されるのは避けられないが,鞭を打つのも,その作り物の乳首を破壊することも止めてあげよう。どうだ? このまま黙っていたら,リンチが延々と続くことになるよ?」


 そんなことを言われても,夏江はなんら答えることはできなかった。人違いだと言っても,信じてくれるはずもない。


 涙を流すものの,何も返事しない夏江を見て,兄貴は乳首への鞭打ちを命じた。


 パチーン!パチーン!パチーン!ーーー


 皮バンドの鞭は,普通の鞭以上に,乳首やおっぱいにダメージを与えた。鞭を打つ役割の男は,最初は,恐る恐る鞭を打ったが,作り物の乳首が全然破壊されないのをみて,だんだんと力を入れていき,最後は,力一杯,鞭を振るった。


 パチーン!パチーン!パチーン!ーーー

 

 とうとう,乳首から,血と母乳の混じったものが飛び散るようなった。乳首や乳房の皮膚が,剥がれて,血が湧き出してきた。でも,ほとんど血は流れなかった。


 こんなに胸を攻めても,涙はどんどんと流れるものの,夏江は一言も口を開かなかった。


 ーーー

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