第3話 実家に帰らせていただきます!
エミコの実家は,石川県にある農家だった。その周囲は村々が点在していた。町と呼ばれるような場所は付近にはなかった。
夏江は,東都から新幹線で金沢に入り,さらに在来線に乗り換えて,最寄りの駅からタクシーで1時間ほども乗って,やっと,目的地であるエミコの実家に着いた。
時計をみると,もう,夜の9時を廻っていた。訪問は明日にでもしようかとも考えたが,付近にホテルや旅館のようなものはないので,ともかく,エミコの実家を訪問してから,泊まる場所を考えることにした。
夏江は,エミコの実家を訪問した。対応に出たのはエミコの母親だ。夏江は,要件を伝えた。
夏江「あの,,,わたし,夏江といいます。霊を取り除く除霊の仕事をしています。実は,七つ星財閥の総裁が,呪詛にかかっていまして,その,,,その呪詛の原因が,どうやらエミコさんと関係があるようなのです。それで,エミコさんと総裁は,いったいどんな関係だったのかを調査させていただきたいと思いまして,ここにお邪魔させていただきました」
エミコの母親は,気のいい母親だった。夏江の依頼内容には,ちょっと気に入らない点もあったが,わざわざ東都からこんな片田舎に来てもらったのだ。ニコニコと作り笑いをして夏江を家の中に通した。
家には,母親だけでなく父親もいた。エミコには弟もいたが,今は,東都で建築関係の仕事をしているので,ここにはいなかった。
母親と父親は,和室の部屋で夏江の対応をした。その部屋には,背の低い机がおいてあるだけだった。母親が夏江に座布団を渡して,そこに掛けてもらった。その机の真向かいに,母親と父親が座った。
母親「それで,具体的には,何を聞きたいのですか?」
夏江「はい。あの,亡くなった方を思い出すのは辛いかもしれませんが,エミコさんについて,なんでもいいですから,教えていただきたいと思います。もしかしたら,なんでもないことに,除霊できるヒントがあるかもしれません」
夏江は,まずは,なんでもいいからエミコについての情報を入手することが先決だと思った。
母親が思い出話をする前に,父親が言葉を発した。
父親「あなたは,今晩はどうするのかね?どこか泊まる場所を確保しているのかな?」
夏江「いえ,駅からタクシーを飛ばしてここに直行して来たので,まだ手配していません」
父親は,ニヤニヤとして夏江の胸を凝視しながら言った。彼は50代前半だ。でも,いまだに性欲旺盛だ。逆に性欲のまったくない母親相手に,毎日のようにエッチなことを要求した。母親はすでに閉経していて,父親の要求を断るのに辟易としていた。こんなスケベな男を夫にしたのが間違いだと嘆いてはいても,どうすることもできなかった。
父親「今から旅館を手配するのは困難だ。すくなくとタクシーで1時間以上かかってしまう。こんなおんぼろ家でいいなら泊まっていきたまえ。エミコの部屋も,スグルの部屋も空いてるしな」
この言葉に,母親がジロッと鼻の下を伸ばしている父親を睨んだ。でも,母親は何も言わなかった。
夏江「あの,,,そうしていただくと大変助かります。あの,これ,少ないですけど,調査費と宿泊費を提供させていただきます。このお金は経費で落ちますので遠慮無く受け取ってください」
夏江は,5万円の入った封筒を父親に渡した。母親に渡すと拒否される可能性があったが,父親なら確実に受け取ってもらえると睨んだ。案の定,父親はなんら遠慮無くそのお金を受け取った。
父親「あららら,すまないな。こんなにしてもらって。うん。遠慮無く何でも聞きなさい」
夏江の巨乳にメロメロになっている父親は,高額のお金ももらったので,すこぶる機嫌がよかった。ともかくも,泊まっていくのだ。夏江のおっぱいを拝む機会があるかもしれない。そんな期待で胸を膨らました。
母親は,ちょっとムッとした。
母親「ちょっと,お風呂の準備をしてきます」
気のいい母親ではあったが,その巨乳とお金で父親をたらしこむような女性に対して愛想を振りまくほどお人好しではなかった。
母親は,さっさとその部屋から出ていった。
父親は,決しておしゃべりではないが,こと,若くて巨乳の気の女性は別だ。もしかしたら,一発できるかもしれないという欲望が渦巻いた。
父親は,エミコの子供時代のことを,回想しながら話していった。
その内容は,以下のような内容だった。
エミコの子供時代は,頭がすこぶるよかった。中学,高校と優秀な成績で卒業し,大学は東都の有名な国立大学に合格した。大学を卒業して就職したのは,七つ星財閥の関連会社だ。どうやらそこで総裁,正確には,総裁になる前のガレルダと知り合いになった。彼との関係がどの程度のものだたのかは,父親にはわからなかった。仮に母親に聞いたところで不明だったろう。
そこで,夏江は,エミコがどうして若くして死亡したのかを聞いた。
父親「エミコの死因ですか,,,突発性心不全とは聞いているのですが,今でも詳しくはわかっていません。なんせ,大学に行ってから,一緒に住んでいないので,エミコがいったいどのような生活をしていたのか,よくわかっていません。自炊していたのですが,きちんと栄養のあるものを取っていたのかどうか,,,」
夏江「エミコさんの東都での生活をもっと詳しくしたりたいのですが,誰に聞けばいいでしょうか? 東都での友人とか親戚の方はいらっしゃらないのですか?」
父親「エミコの友人関係についてはよく知らん。でも,そういえば,弟のカズマが東都にいて,ときどきエミコに会っていたと言っていたな」
父親は,ちょっと険しい顔になった。
父親「カズマは,あれだ。いろんな商売をしていて,いったい,今,どんな商売をしているんだか? 一時期は,結婚詐欺で警察に捕まりそうになったけど,なんとか相手と示談が成立したとか言っていたな」
そんな話しをしていると,母親が来て,お風呂が沸いたので,夏江に先に入るように促した。
夏江は,今日のところはここまでと思って,お風呂に入ることにした。
夏江が和室から出ていったのをみて,母親は父親に言った。
母親「わたし,しばらく実家に帰らせていただきます」
父親はまたかと思った。でも,なんでこんなタイミングで??
父親「なんで急にそんなこと言うんだ!」
母親「あんなおっぱいの大きい女子がそばにいては,あなたの性欲がますます触発されてしまうでしょう? わたし,性欲に狂ったあなたの相手をしたくありません。あの夏江さんにでも,お願いすればいいじゃないですか」
母親の言葉は,父親にとっては願ってもないことだったが,父親としても,そうやすやすと夏江とエッチができるとは思っていない。
父親「夏江さんはお客さんだぞ。そんなエッチなことできるわけないじゃないか!」
母親「どうでしょうか? わたしの眼からみれば,夏江さんは,あなたを誘っているようでしたよ」
この言葉に,父親は眼を輝かせた。
父親「何?ほんとうか?!」
母親「ほら! スケベ根性丸出しにして!! そんなの嘘に決まっているじゃないですか! とこかく,実家に帰らせていただきます!」
母親は,着の身着のまま家を出ていった。
父親「ふん! 実家実家って,何言っているんだ! 歩いて1分の離れのババアの家じゃないか!」
父親は,今日でなくても頻繁に実家に帰る母親に捨て台詞を言った。でも,母親がいなくなるのは,父親にとっては好都合だ。さて,どうやって,あの爆乳夏江とムフフの関係になることができるのか,,,
父親は,しばらく考えた後,ダメ元で,思い切った行動をとることにした。
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