第3話-いやだ-

晴と朝一緒に登校して、授業を受けて、晴と一緒に帰り道を辿る。


自分は晴と昔以上に一緒にいることにした。


事故が起きるのは高2の時、今は小2でまだまだ猶予があるけれど、油断をしちゃダメだから、晴の動向を常に把握して、常に一緒にいて、前より信頼されて、前世よりもっともっと仲良くなれるように頑張った。


自分は晴がいないと人生が楽しくない。晴のいない人生で、死んでしまうほど。


だから、晴とは常に一緒にいることにした。晴の全てを知るために。晴の全てを愛すために。


そうやって、淡々と日々を過ごして行った。


自分は未来が分かってると悟られないように、記憶のあるかぎり前とおんなじ行動をして過ごした。

でも勉強はできた方がいいかなーと思って前世の記憶をフルパワーで活かしていい点取っちゃったけど。


そうして1年、2年、3年の月日が経った小5の春のある日のことだった。


前の人生では小5は晴と喧嘩して、1週間くらい話さない期間があった。

もちろん今世の自分は晴と喧嘩するなんてできるはずがないので、仲良くしていた。

それに2、3、4と同じクラスだったのに、前世と同じくクラスが離れていたから晴の行動を常に確認できず、晴は新しい友達と話していた。


それが、ダメだったのだろうか。晴は、放課後男子に呼び出されたと言った。


前世では聞かされてなかったその言葉。

まぁ、前より仲良くなってるんだから聞かされるのは当たり前として、「少し話を聞いてくる」と言ったのが驚いたし、動揺した。


晴はモテる。明るくて、優しくて、正義感が強くてかわいい。こんな子がモテないはずがない。

2、3、4年の時は自分がガン飛ばしてたから男子はあまり話しかけて来なかったけど、違うクラスの今は別。

晴を狙ってくる男子がいるのは想定済み。

じゃあなんで動揺しているのか、答えはそう、晴が「少し話を聞いてくる」と言ったこと。

晴は鈍感少女じゃないから気づいてるはず。

呼び出された理由は四十八九告白だって。

これまでの晴なら気がついて話に行くなんて絶対に言わないはず。

じゃあなんでそういったのか。


自分が行き着いた答えは、「晴は、自分が、鬱陶しい…?」


そう考えついた瞬間思考が急速に回る。

晴は自分を鬱陶しいと思ってる。

告白を受けようと思ったのは、彼氏が出来たら自分と仲良くしなくていいから。

晴は、自分のことが、嫌い……?

「晴は自分のことが嫌い、自分のことが…きらい。」そう心の中でつぶやく。


晴に嫌われた。なんで、どうして、なんで…。いやだ、こわい、晴にきらわれたくない、いっしょにいたい、いやだ…いやだ…。


心臓が張り裂けそうなくらい痛い。

頭がくらくらいして、自分の言葉があたまにひびく。

ふわふわとしていて気持ちが悪い。

足に力が入らない。


気がついたら自分は倒れていて、頭の中ではやっぱり自分の言葉が反芻していた。

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