第15話 星の降る下で
━━……きっと、あの日からだ。あの日から自分は1人で生きてきた。きっとジュリィが戻ってくるという叶うことの無い希望を持って。
でも、今でも希望を持っている。だって、あの時約束したから。
ねぇジュリィ……あの約束まだ叶えられてないけど、いつかきっと叶えるからね。
キシルは空を見上げながら悲しみの涙を流した。
もしかしらたら、この涙で奇跡が起こるかもしれない。
そんな漫画みたいなことは起こるわけない。でも、そう思ってしまう。きっと……きっともう会えないのに。
会えないと思うと会いたい気持ちが溢れてくる。
ドゴォォォォォン!
「っ!?」
その時、突如後ろに星の怪物が現れた。
「最後の1匹だ。死ね」
キシルは容赦なくその怪物を倒す。すると、当然のように星の結晶が現れた。しかし、何も起こらない。
「やっぱりダメだったか……会いたかったのに……ジュリィ……会いたいよ……」
苦しみにも似た声でそう小さく呟く。
ドゴォォォォォン!
「っ!?」
気がつけば、もう1匹ほど星の怪物がいた。
しまった。気を抜いていたせいですぐに倒せない。しかし、星の怪物は既に攻撃してきている。
殺られる……
「
突如、昔聞きなれた優しくて可愛い声が聞こえた。
「え?」
そして、突然星の怪物が淡い紫色の光を上げて消えていった。
「キシルのバカ……たるみきってる」
「なんで……?」
「再開。会えて嬉しい?」
「いや、そうじゃなくて……なんでここに?」
「……疑惑。いちゃダメなの?」
「いや、ダメじゃないけど……」
「……ふふふ、戸惑ってるんでしょ。帰ってきたんだよ。理由は分からないけど帰ってこれたんだよ」
「嘘……だろ……」
キシルは驚きのあまり言葉を失う。そして、震える手でジュリィに触れた。暖かい。あの優しくてもちもちぷにぷにの可愛いジュリィだ。
「なんで……っ!?そうか……星の願いがかなったのか……」
そう思うと不思議と笑みがこぼれる。
「ねぇキシル」
ジュリィは何か求めるように手を広げた。
「この甘えん坊が。3年ぶりに会えて嬉しいよ」
2人はそう言って3年ぶりのキスをした。その唇の味は甘くてなんだかぷにぷにしていた。
「ねぇキシル、3年前の約束覚えてる?」
「当たり前だろ」
「じゃあ早く聞きたいなー」
「……フッ、ジュリィ……愛してるよ」
その言葉を聞いてジュリィ優しい笑顔で笑った。
3年ぶりに見たその笑顔はキシルにとってかけがえのないものとなった。
その時、空には星が降っていた。
星の降る下であなたに愛を 五三竜 @Komiryu5353
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます