第14話 星が降り始めた日

 ━━……星の人は星と共鳴する。そして、星を呼び寄せる。だから、俺はここにいてはいけないのかもしれない。


 ……人は、星とは関係ない。俺もそうだった。でも、ジュリィは違った。ジュリィの家は星と関係があった。


「運命とは変えられないのかもしれない。……でも、努力をすれば、運命は……」


 その言葉からは、キシルの強い決意のようなものが感じられた。そして、それと同時に悲しみと辛い気持ちも感じられた。


 でも、これが運命であり宿命である。星の人となったキシルに抗う権利など無いのかもしれない。


「でも、抗うさ。俺は諦めが悪いからさ。そうだろ、ジュリィ……」


 その言葉も暗幕の張られた空に浮かぶ星の中に消えていった。


 ━━━━━━━━………………


「っ!?」


 キシルは何が起こったのか分からなかった。ただ、自分がどこかに吹き飛ばされ右腕が無くなっていることだけがわかった。


 いや、それだけじゃない。星の怪物が死んでいるのも分かった。


「なんで!?……っ!?ジュリィ!」


 キシルは起き上がるとすぐにジュリィの名前を叫んだ。


「キシル!私はここよ!」


「良かった……無事だったんだね」


「うん……でも、一体何がおこったの?」


「分からない。でも、なんだか良くないことが起こった気がする」


「そう……っ!?驚愕……!あれを見て……」


 ジュリィが空を見てそういった。


「あれは……!?」


「……星……」


「星?」


「星が降り始めた……」


 その言葉は、2人の恐怖感を引き立てた。そして、空をすぎていく星はどんどん数をましていき、空を埋めつくしていく。


「星?流星群か……?」


「……ダメ……キシル、逃げて!」


「は?なんでだよ?」


「なんでもよ!とにかく逃げないと……このままじゃキシルが……!」


「……ジュリィ……ちゃんと話してくれ……頼む」


 キシルは落ち着いた声でそう言った。ジュリィは落ち着きを取り戻すと静かに話し始めた。


「絶望……キシルが星と合体したことで、キシルは星の人となってしまった。星の人は星を引き寄せる。このままじゃ、キシルに向かって星が落ちてくる」


「何!?……どうすればいいんだ?」


「キシルに出来ることは……何も無い」


「っ!?じゃあジュリィはどうする気何だ!?」


「……沈黙……言えない」


「なんでだよ!?」


「キシルを悲しませたくない……」


 その言葉で全部を察した。だから、その後は何も言えなくなってしまった。


「キシル……約束して。必ずまた会えるって。何年かかってもまた会えるって約束して」


「なんだよ急に……一生会えないみたいな言い方じゃないか……」


「いいから約束して!」


 キシルはジュリィのその気迫に気圧されながらも頷いた。


「分かった……約束するよ」


 ジュリィはその言葉を聞いてにっこりと笑顔を作る。そしてその日、ジュリィは星の世界へと旅立った。

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