第13話 ユニオン

 ━━……今でも後悔する。あの時星を降らせなければ……と。


 きっとこの星は、俺がいるから降ってきてるんだと思う。


「冷静じゃなかったのは俺だったみたいだな」


 そう言って涙を1粒零した。


 ……こんなんだと、またジュリィから笑われるな。


「フフ、どうせ……爆笑、とか……滑稽、とか言って笑うんだろうな。でも、今は……」


 そう言って当たりを見渡す。そこには……何も無い、大平原が続くだけだった。


 ━━━━━━━━━………………


「なんで……!?……クッ……このぉぉぉぉ!」


 ジュリィは怒りの咆哮をあげる。やっぱり怒りのあまり、攻撃の精度が悪くなってるみたいだ。


「ジュリィ!止まれ!」


「いいいやぁぁぁぁぁ!」


「ジュリィ!やめろ!俺の話を聞け!おい!ジュリィ!」


 どんなに叫んでもジュリィは止まらない。


 その時、星の怪物が手を爪に変えた。まずい……


「ジュリィ……!」


「え……!?」


 咄嗟にキシルはジュリィの前に出た。そのせいで、星の怪物の攻撃を背中に受ける。


「うぐぁ……!」


「き、キシル!?キシル!やだよ……死なないでよ!キシル!」


「バカっ……これくらいで死ぬわけないだろ……ジュリィを泣かせる訳にはいかないからな」


「キシル……ごめんなさい……ごめんなさい!私が……私が早とちりするから……!」


「……ジュリィ……泣くなよ。ジュリィが泣いたら俺も泣いちゃうよ」


「もぅ!そんなふざけてる場合じゃないよ!早く……早くしないと……」


「冷静に。さっきも言ったでしょ。……俺にはまだ手はある。でも、奥の手があっても感情に任せてたら通用しないよ」


 そう言って手から星の結晶を取りだした。


「……まさか……!?ダメ!絶対にダメ!何が起こるかわかんないんだよ!」


「でも、これしか方法は無い」


悪手あくしゅ遺漏いろう汚辱おじょく禍根かこん詭弁きべん欺瞞ぎまん虚勢きょせい愚行ぐこう!愚行よ愚行!そんなことしたって、勝てないものは勝てないもん!キシルのバ……」


「やってみないと分からないだろ!」


 キシルは、その日初めてジュリィに怒鳴った。ジュリィはキシルに怒鳴られて目を丸くする。


「あ……うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁん!だって!だってぇ!うわぁぁぁぁぁぁん!」


「……フフ、泣くなよジュリィ。きっと……きっと俺が何とかするから。だから、俺を信じてくれ」


 キシルは優しい笑顔でそう言った。その笑顔でジュリィは少し落ち着く。


「……了解……でも、1つ約束して欲しい。何年かかっても良いから伝えたいことを私に伝えて」


「あぁ、約束するよ」


 キシルはそう言って頷くと星の結晶を握りしめた。


「”ユニオン”」


 そう唱えた瞬間視界は真っ白になり、何故か体が吹き飛んだ。


 そして、星の怪物は倒れ、キシルは星の人となった。

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